離婚についてどのタイミングで弁護士に相談すべきか
2024/11/07 更新
このページを印刷弁護士に依頼したときの離婚の進め方
弁護士に依頼した場合、どのように離婚を進めるのでしょうか。
弁護士に依頼したときの離婚の進め方は、大きく3つです。
弁護士に依頼する場合の離婚の進め方
①本人同士の話し合い
②弁護士同士の話し合い
③裁判手続(調停手続)
①本人同士の話し合い
進め方
- 弁護士は、本人にどう話をすればよいのかアドバイスをする。
- 本人どうしで話をする。
- 話し合いがまとまれば、弁護士がその内容を合意書にする。
利用するケース
本人同士で話し合いができそうなケース(対立の小さいケース)で使います。
「弁護士を直接入れて話し合うのは、大げさすぎる。」と心配するケースで使います。
メリット
弁護士に交渉の代行を依頼してしまうと、本人同士の話に戻すことは難しいです。
なぜなら、相手方も弁護士に頼むとなって、弁護士同士の話し合いに移行することが多いからです。
しかし、本人同士の話で進まないと判断してから、その後、弁護士に交渉の代行を依頼することはできます。
相手方の対応を見ながら進めていけるメリットがあります。
デメリット
感情的に話し合えないケースや、一方が離婚に積極的でないケース等では、なかなか進まないというデメリットがあります。
②弁護士同士の話し合い
以下、本人を一方当事者、相手方を他方当事者と記載します。
進め方
- 一方当事者が、弁護士に交渉を依頼します。
- 弁護士が他方当事者に、「一方当事者への連絡を禁じる。今後は、弁護士に連絡してほしい。」と文書を送ります。
- 一方当事者には、別居して、他方当事者と直接連絡することを基本的には避けてもらいます。
- 他方当事者が、一方当事者に連絡がつかなくて、弁護士に連絡するようになります。
- 多くのケースでは、他方当事者も弁護士を入れて、弁護士同士の話し合いになります。
- 弁護士どうして話し合って合意書の案を作ります。
- 弁護士が当事者に合意書の内容について確認をとって、承諾を得れれば、合意書を作成します。
利用するケース
弁護士の介入で、他方当事者がどんな反応をするか分かりません。トラブルを避けるためにも、別居することが前提になることが多いです。
他方当事者が威圧的な場合、他方当事者が自分の言い分だけを主張する場合には、弁護士に交渉の代行を依頼したほうがよいでしょう。
離婚の清算として、分けるべき財産が少ないケースで利用します。
弁護士も、お互いの当事者の意向にそって交渉します。当事者の利害が大きく対立すると、当事者の利害が大きく対立すると、弁護士同士の話し合いでは解決が難しいです。
仮に、交渉が長引きそう(3か月程度でまとまらなさそう)であれば、裁判手続(調停手続)を利用した方がよいでしょう。
メリット
3か月程度で、交渉がまとまりそうなケースで使います。逆に言えば、3か月程度でのスピード解決が期待できます。
他方当事者が威圧的な場合、他方当事者が自分の言い分だけを主張する場合には、弁護士に交渉の代行を依頼できます。
正当な利益も守れます。もしくは、精神的な安定を得られるメリットがあります。
デメリット
弁護士を通じて、お互いが譲り合いで解決できそうであることが前提です。
当事者の利害が大きく対立すると、弁護士同士の話し合いでは解決が難しいです。
弁護士に交渉の代行を依頼してしまうと、当事者同士の話に戻すことは難しいです。
なぜなら、相手方も弁護士に頼むとなって、弁護士同士の話し合いに移行することが多いからです。
相手方にも弁護士が付くので、合意内容が裁判相場となります。本人の希望が裁判基準を超える場合には当事者同士で話し合ってもらうしかありません。
③裁判手続(調停手続)
進め方
- 裁判所に、調停手続の申立書を提出します。
- 裁判所に月に1回程度、弁護士と一緒に行きます。
- 他方当事者も、同じ時間帯に裁判所に来ます。
- 一方当事者と他方当事者が直接話をすることはありません。
- 一方当事者が自分の言い分を調停委員に伝えます。
- 調停員は、その内容を他方当事者に伝えいます。他方当事者は、それを聞いて、自分の言い分を調停委員に伝えます。
- 調停員は、他方当事者の言い分を一方当事者に伝えます。
- これを繰り返して合意します。
- 1回の期日は2時間程度を限度としており、30分ほど、調停員委員と話をして、その後、30分ほど、別室で待機します。その30分で、他方当事者は調停員と話をすることになります。これを2回ほど繰り返します。
- 期日の最後に、宿題を渡されます。自分の気持ちを整理してくること、財産を明らかにすること等の宿題がでます。
- 短くても半年、長ければ1年以上解決までかかります。
- 離婚を成立させる調停(和解のイメージ)を成立させるケースでは、最後に1度だけ、裁判官、弁護士、一方当事者、他方当事者が一緒の部屋に集まって、合意内の確認をします。その際に、1度だけ、他方当事者と会うことになります。
利用するケース
当事者の利害が大きく対立するケースでは、裁判手続(調停手続)を利用することになります。
現実には、弁護士同士の話し合いで解決できるケースは少ないです。
離婚という性質上、お互いの対立は深刻なケースが多いといえます。多くのケースでは、裁判手続(調停手続)を利用することになります。
婚姻費用(結婚している夫婦間での生活費の請求)や養育費を請求できるのは、調停の申立時からです。
婚姻費用や養育費を請求するケースでは、とりあえず、調停を申し立てることになります。
メリット
当事者の利害が大きく対立するケースでは、裁判手続(調停手続)を利用するしかありません。
弁護士同士の話し合いで解決ができないとなってから(硬直状態に陥ってから)、裁判手続(調停手続)となると、半年ほど時間が無駄になります。
私見としては、3か月交渉を目安にしてますが、「もう一度、こちらの要求を文書にして出して、返事を待ってみましょう。」となることが多く半年ほどはあっという間に過ぎてしまいます。
デメリット
月に1回、平日に裁判所に来てもらう必要があります。
調停手続にて、離婚を成立させる調停(和解のイメージ)を成立させる場合には、最後に1度だけ、裁判官、弁護士、一方当事者、他方当事者が一緒の部屋に集まって、合意内の確認をします。その際に、1度だけ、他方当事者と会うことが必要です。
参考
東京弁護士会春秋会 (編集)「実践訴訟戦術 離婚事件編―弁護士はここで悩んでいる 」72頁以下、92頁以下