Q 債務額の一部について弁済の提供をした場合にどのように取り扱うべきか。
2026/03/27 更新
このページを印刷弁済の提供
(1)弁済の提供とは、債務者が債務の本旨にしたがった弁済の提供をしたが、債権者が受領しなかったことです(民法493条)。
(2)債務者は弁済の提供により、債務を履行しなかったことによりよって生じる全ての責任を免れます。
| 相手方の同時履行の抗弁権を消滅させます。 利息の発生を止めます。 相手方の履行遅滞に基づく請求の抗弁となります。 |
10%が不足(100万円の債務について、10万円が不足する場合)
(1)債務の提供が一部である場合、提供された一部についても、弁済の提供の効力は発生しない(岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 民法1」697頁以下)。
(2)100万円の債務について、10万円が不足する場合、利息や遅延損害金は残額の10万円ではなく、100万円について発生します。
1%の不足(100万円の債務について、1万円が不足する場合)
(1)信義則上、不足額の1%程度であれば、信義則上、債務の本旨にしたがった弁済の提供の効力となります。
したがって、利息や遅延損害金は全額について発生しない。
(2)上記の法理は、信義則を根拠としている。通常は債務総額の1%未満ば許容範囲とされるが、個別の事案によって許容範囲は変わることがありえる。(判例タイムズ1541号132頁)
(3)なお、100万円の債務について、1万円が不足する場合、債権者が弁済を受領すれば、残額1万円について、利息や遅延損害金が発生する。
(2)(3)の差については、債権者が受け取らなかったことについて、(2)の債権者に対し責任を認めるで説明することになろう。
高松高判令和6年9月26日判例タイムズ1541号132頁
債務総額の約5%を不足する金額について弁済の提供をしても、提供された一部についても、弁済の提供の効力は発生しない。






