Q 契約締結の実際の流れを教えて下さい。
2025/12/16 更新
このページを印刷契約の締結の立ち合い
(1)契約の締結の場でするべきことは、「仮に、訴訟で契約の有効無効が争われたときのための証拠を集めること」です。
(2)具体的に流れを見ながら確認してみましょう。
実際の事例
弁護士A
「本日は、契約書の取り交わしをしたいと思います。仕事柄ですが、録音させてもらてよいでしょうか。」
解説
(1)録音するのに、相手方の承諾は不要です。
(2)もっとも、録音するときに、相手方の承諾をとるのが礼儀である。
(3)できれば、前日までに、録音することを告げておきたい。
相手方B
「もちろん大丈夫です。」
弁護士A
「それでは、録音します。」
「本日は、〇年〇月〇日です。」
「私は、弁護士の〇〇です。」
「本日は、Bさんと、〇〇に集まって契約締結をすることになります。」
解説
(1)日時、場所、参加メンバーについて、最初に述べて記録化しておく。
(2)後日、録音テープを聞くときに、これらの前提が分からないと困ることになる。
(3)集まった理由・趣旨も簡単に述べておきたい。
弁護士A
「それでは、本人確認に移りたいと思います。」
「私の身分証はこれです。」
「コピーもお渡します。」
「まずは、身分証とコピーが同一か、ご確認ください。」
「問題なければ、コピーはお持ち帰り下さい。」
相手方B
「大丈夫です。」
弁護士A
「ところで、Bさんは、私が弁護士であることや、事務所のHPを確認されていますか。」
相手方B
「確認しました。」
弁護士A
「HPには顔写真も写っています。それでは、私が、弁護士Aであることは確認済みということでお話を進めさせて下さい。」
弁護士A
「次に、Bさんの身分証を見せてもらえますでしょうか。事前にお願いしていた、身分証のコピーを見せて頂けますか。」
相手方B
「はい。これです。」
弁護士A
「身分証とコピーについて、確認させてもらいました。」
「身分証のコピーを頂戴してもよいでしょうか。」
相手方B
「もちろんです。」
弁護士A
「身分証のコピーについては、依頼者には渡しません。私の方で保管します。」
「なお、これから、締結する合意書については、もちろん、依頼者に渡すことになります。」
相手方B
「ご配慮、ありがとうございます。」
解説
(1)「身分証を偽造する人は少ない。」という理由で、身分証による本人確認をしている。
(2)お互いに、身分書を確認したということを録音によって記録化している。
(3)実際には、HPで会社名を確認し、その会社住所に郵便物を送り、その郵便物を受け取った等の過程を経ている。これは、「Xさん以外の人がXだとHPで公表することはできない。もし、そんなことをしていると大問題になる。」という前提で、HPの住所に送った郵便物を受け取れるのはXだけという経験則で、本人確認をしている。
弁護士A
「それでは、契約書の内容の確認をします。」
「本日は、簡略な方法で、確認をさせていただきます。」
「第1条は、〇〇ということが書かれています。」
「Bさん、この内容で間違いないでしょうか。」
相手方B
「大丈夫です。」
弁護士A
「次に、第2条は、〇〇ということが書かれています。」
「Bさん、この内容で間違いないでしょうか。」
相手方B
「事前に、打ち合わせどおりですね。」
解説
(1)後日、「事前説明と契約書の内容が異なっていた。契約書を読まずに署名したので無効だ。」 と言われないために、契約内容の説明し、そのことを録音をしておく。
(2)今回は、「第1条は、●●という意味です。第2条は●●という意味です。」と契約書の内容を説明した事実を録音して証拠化しています。
(3)なお、契約書の文言を一字一句読み上げるスタイルもありえます。
弁護士A
「契約内容の確認が終わったということで、お互いが契約書に署名、押印する。」ということでよいでしょうか。
相手方B
「大丈夫です。」
********************
お互いが契約書に署名をする。
********************
解説
(1)ここで、契約書の署名は必ずしも自書である必要はありません。
(2)録音していますので、音声データにより本人確認ができます。
(3)もちろん、印鑑証明があれば、より確実だとは言えます。
印鑑証明証と実印のハンコがあれば、少なくとも本人の実印が押されていたことが確認できます。通常、実印が盗難に遭うことは考えにくく、本人(もしくは本人から実印を預かった者)が押印したことが推定されます。
弁護士A
「今回、私の方で契約書を用意させて頂きました。」
「契約書の内容はどちらも同じです。」
「仮に、私が一つの契約書には、10万円、もう一つの契約書には、100万円と記載するようなことがあっては問題です。そういうことがないように、Bさんが持ち帰る契約書をBさん側で選んでもらえませんか。」
相手方B
「信頼してますから、大丈夫ですよ。」
弁護士A
「職業病だと思って、お付き合いください。」
「Bさんが持ち帰る契約書をBさん側で選んでもらえませんか。」
相手方B
「それでは、こちらを持ち帰ります。」
解説
(1)本来的には、録音しているので、「一つの契約書には、10万円、もう一つの契約書には、100万円と記載するように、別々の契約書が作られている。」ということはない。
(2)ただ、これらの確認の手間が増えるということであれば、契約書は、こちらで用意する。
(3)2通のうち1通を相手方が持ち帰ってもらうというのが正しい。
(4)なお、契約書が2通あれば、本来的には、「一つの契約書には、10万円、もう一つの契約書には、100万円と記載するように、別々の契約書が作られている。」という状況は起きないかもしれない。
| 相手方が本当の詐欺師であった場合には、嘘の契約を締結して登記を移転させて逃げる可能性がある。 弁護士としては、契約書は事前に用意するのが鉄則である。 なお、相手方が契約書を用意してきた場合には、しっかり読むのか、重ねて文字が重なるかチェックしたりする。 |
弁護士A
「本日はありがとうございました。」
相手方B
「こちらこそありがとうございました。」
弁護士
「これでは、録音を止めます。」
| 私は、一度、詐欺師を追いつけて、その詐欺師に返済の合意書を締結させてたときに、詐欺師がいきなり契約書をわしずかみにして、持って逃げていったというケースに遭遇したことがある。 以来、相手方が承諾してくれた合意書は、すぐに、ファイルに入れてかばんにしまうようにしている。 |
解説
(1)以上のよに、契約の流れを録音しておきます。
(2)以上のようにやっておけば、後日、「無理やり契約書に署名させられた。」と言われることはないだろう。






