Q 留置権とは何ですか。
2025/12/07 更新
このページを印刷留置権
(1)留置権とは、他人の物を占有している人が、その物に関して生じた債権の支払いが済むまで、その物を手放さずに占有し続けることができる権利です。
(2)所有者から所有権に基づく返還請求権に対し、「〇円の支払いがあるまではその物を返還しない。」と主張する権利である。
所有権の返還請求権と、留置権の抗弁
抗弁
所有者から、所有権に基づく返還請求権に対し、留置権の抗弁の要件事実は以下のとおりとなる。
要件事実
①当該物に関して生じた債権の発生原因事実
②留置権者がその物を占有していること。
③その物が、他人の所有物であること
④留置権を行使するという意思表示
①当該物に関して生じた債権の発生原因事実
物と債権の牽連性
留置権が認められるためには、債権の支払いとその物との間に関係性が必要となります。
物の修理代
時計屋さんが時計を修理したが、持ち主が修理代を払わない。
修理代は「その時計」を直したことで発生した債権なので、時計を留置できます。
物の必要費、有益費
借りていた家の雨漏りを借主が自費で直した(必要費)が、大家さんがその費用を返してくれない。
修理費は「その家」の価値を維持・向上させるために使ったお金なので、支払われるまで家を明け渡さなくて済みます。
物の代金
大工さんが家を建てたが、施主が工事代金を払わない。
工事代金は「その建物」を作ったことで生じた債権なので、建物を引き渡さずに留置できます。
④留置権を行使する意思表示
(1)留置権は権利抗弁である。留置権を行使するという意思表示がなければ、留置権は認められない。
| 民法295条 留置権の内容 1項 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。 2項 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。 |






