Q 動産譲渡担保とは何か。
2025/12/24 更新
このページを印刷動産譲渡担保
(1)譲渡担保契約とは、金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権を債権者に譲渡することを内容とする契約です(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律)。(第十六号ロに掲げるものを除く。)。
(2)法的な性質とて、譲渡担保の目的の範囲内で、担保設定者から担保権者に対し、所有権が移転すると説明されます。担保設定者も、担保権者も両方が不完全な所有権を持つイメージです。
| 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律2条 定義 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 譲渡担保契約 金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権(民法(明治二十九年法律第八十九号)第三編第一章第四節の規定により譲渡されるものに限る。以下この条、第二十三条第二項、第二十六条第一項第九号及び第五十五条において同じ。)その他の財産(次に掲げるものを除く。)を債権者に譲渡することを内容とする契約(第十六号ロに掲げるものを除く。)をいう。 (省略) |
担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
担保設定者が第三者に担保財産を譲渡した場合
(1)1個の財産に譲渡担保を設定した場合が考えられる。
担保設定者も、担保財産を第三者に譲渡することができるが(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律6条)、第三者は担保の目的の制限の付いた所有権のみしか取得できないと考えます。
そこで、第三者は、(善意、無過失を要件とする)即時取得が成立する場合に救済されうる。
参考
自由と正義2025年12月号10頁
(2)集合物譲渡担保の場合には、企業の在庫等について担保を設定する。
この場合には、担保設定者は担保財産について、通常の営業の範囲で自由に処分する権限を有する。
(3)担保設定者は、「在庫が500個を下回らない範囲で処分ができる。」という範囲で処分権が制限されていることがあります。
担保設定者も、担保財産を第三者に譲渡することができるが(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律6条)、第三者は担保の目的の制限の付いた所有権のみしか取得できないと考えます。
そこで、第三者は、即時取得が成立する場合に救済されうる。
なお、集合譲渡担保の場合には、即時取得の成立に、無過失は不要です。
| 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律42条 集合動産譲渡担保権設定者による動産特定範囲に属する動産の処分 1項 集合動産譲渡担保契約における動産譲渡担保権設定者(以下「集合動産譲渡担保権設定者」という。)は、動産特定範囲に属する動産の処分をすることができる。ただし、集合動産譲渡担保権設定者が集合動産譲渡担保権者を害することを知っていたときは、この限りでない。 2項 前項本文の規定にかかわらず、集合動産譲渡担保契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。 3項 集合動産譲渡担保権設定者が、集合動産譲渡担保権者を害することを知って動産特定範囲に属する動産の処分をし、又は前項に規定する別段の定めによる処分権限の範囲(次項及び第四十四条において「権限範囲」という。)を超えて動産特定範囲に属する動産の処分をした場合における民法第百九十二条の規定の適用については、同条中「善意であり、かつ、過失がない」とあるのは、「善意である」とする。 4項 集合動産譲渡担保権設定者が集合動産譲渡担保権者を害することを知って動産特定範囲に属する動産の処分をするおそれがあるとき、又は権限範囲を超えて動産特定範囲に属する動産の処分をするおそれがあるときは、集合動産譲渡担保権者は、その予防を請求することができる。 |
担保設定者が二重に譲渡担保を設定した場合
(1)担保設定者が二重に譲渡担保を設定した場合には、第三者の優先関係は対抗要件で優劣が決まります(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律32条)。
(2)動産譲渡担保については、(設定者が担保財産を事実上占有したまま、今後は担保権者のために占有することを宣言する)占有改定でも対抗要件の具備となります。
| 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律32条 動産譲渡担保権の順位 同一の動産について数個の動産譲渡担保権が互いに競合する場合には、その動産譲渡担保権の順位は、その動産の引渡し(登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない動産にあっては、登記又は登録)の前後による。 |
担保設定者が第三者に担保財産を譲渡した場合
被担保債権が履行遅滞に陥る前に、担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
被担保債権が履行遅滞に陥る前には、担保権者は担保財産を譲渡する権限を持たない。担保設定者が第三者に担保財産を譲渡した場合、担保設定者は、弁済期前に弁済をすることで担保財産を受け戻すことができる。
したがって、第三者は、(善意、無過失を要件とする)即時取得が成立する場合に救済されうる。
被担保債権が弁済により消滅した後に、担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
被担保債権が弁済により消滅により、譲渡財産の所有権は復帰的に担保設定に戻る。第三者と担保設定者は、対抗要件の関係に立つ。
被担保債権が履行遅滞に陥った後に、担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
これにより、担保権者は担保不動産の所有権を失う。
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 民法1」460頁以下
担保財産を第三者に譲渡することができるが(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律6条)、第三者は担保の






