Q 動産譲渡担保とは何か。
2025/12/25 更新
このページを印刷譲渡担保
(1)譲渡担保契約とは、金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権を債権者に譲渡することを内容とする契約です(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律)。
(2)法的な性質として、譲渡担保の目的の範囲内で、担保設定者から担保権者に対し、所有権が移転すると説明されます。担保設定者も、担保権者も両方が不完全な所有権を持つイメージです。
| 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律2条 定義 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 譲渡担保契約 金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権(民法(明治二十九年法律第八十九号)第三編第一章第四節の規定により譲渡されるものに限る。以下この条、第二十三条第二項、第二十六条第一項第九号及び第五十五条において同じ。)その他の財産(次に掲げるものを除く。)を債権者に譲渡することを内容とする契約(第十六号ロに掲げるものを除く。)をいう。 (省略) |
動産譲渡担保において、担保権者の対抗要件
(1)担保権者が、第三者に対し譲渡担保の成立を主張するには、担保財産(動産)の「引渡し」もしくは、動産譲渡負登記が必要です(民法178条)(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律32条)。
(2)ここでの引渡しには、(設定者が担保財産を事実上占有したまま、今後は担保権者のために占有することを宣言する)占有改定も含まれます。
担保設定者が第三者に担保財産を譲渡した場合
担保設定者が第三者に担保財産を譲渡した場合
担保設定者も、担保財産を第三者に譲渡することができるが(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律6条)、第三者は担保の目的の制限の付いた所有権のみしか取得できません。
そこで、第三者は、(善意、無過失を要件とする)即時取得が成立する場合に救済される。
担保設定者が二重に譲渡担保を設定した場合
1 対抗関係
(1)担保設定者が二重に譲渡担保を設定した場合、二人の譲渡担権者は対抗要件の関係に立つことになります(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律32条)。
(2)担保権者が、第三者に対し譲渡担保の成立を主張するには、担保財産(動産)の「引渡し」もしくは、動産譲渡登記が必要です(民法178条)(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律32条)。
(3)担保権の順位は、動産の引渡し(動産譲渡登記を含む)の前後によることになります(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律32条)。
2 占有改定
(1)ここでの引渡しには、(設定者が担保財産を事実上占有したまま、今後は担保権者のために占有することを宣言する)占有改定も含まれます。もっとも、占有改定には、占有状態の外形が変化しない点で、弱い部分があります。
(2)もっとも、占有改定により対抗要件を具備した担保権者は、他の方法(現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転、動産譲渡担保登記)により対抗要件を満たした担保権者に劣後します(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律36条)。
| 譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律 32条 動産譲渡担保権の順位 同一の動産について数個の動産譲渡担保権が互いに競合する場合には、その動産譲渡担保権の順位は、その動産の引渡し(登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない動産にあっては、登記又は登録)の前後による。 36条 占有改定で対抗要件を備えた動産譲渡担保権の順位の特例 1項 第32条及び前条並びに事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第五十二号)第18条第一項の規定にかかわらず、占有改定で譲渡担保動産の引渡しを受けることにより対抗要件を備えた動産譲渡担保権は、占有改定以外の方法で譲渡担保動産の引渡し(特例法第三条第一項の規定により引渡しがあったものとみなされる場合を含む。)を受けることにより対抗要件を備えた動産譲渡担保権若しくは動産質権又は企業価値担保権に劣後する。 2項 動産譲渡担保権が占有改定以外の方法で譲渡担保動産の引渡し(特例法第三条第一項の規定により引渡しがあったものとみなされる場合を除く。)を受けることにより対抗要件を備えたものであっても、その後に動産譲渡担保権設定者が当該譲渡担保動産を現に所持して占有したときは、前項の規定の適用については、占有改定で引渡しを受けることにより対抗要件を備えたものとみなす。 |
担当者設定者の受戻権
譲渡担保設定者は、被担保債権を弁済等により消滅させて、担保財産を受け戻す(所有権を回復する)ことができます。
担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
被担保債権が履行遅滞に陥る前に、担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
被担保債権が履行遅滞に陥る前には、担保権者は担保財産を譲渡する権限を持たない。担保設定者が第三者に担保財産を譲渡した場合、担保設定者は、弁済期前に弁済をすることで担保財産を受け戻すことができる。
したがって、第三者は、(善意、無過失を要件とする)即時取得が成立する場合に救済されうる。
被担保債権が弁済により消滅した後に、担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
被担保債権が弁済により消滅により、譲渡財産の所有権は復帰的に担保設定に戻る。第三者と担保設定者は、対抗要件の関係に立つ。
被担保債権が履行遅滞に陥った後に、担保権者が第三者に担保財産を譲渡した場合
これにより、担保権者は担保不動産の所有権(受戻権)を失う。
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 民法1」460頁以下
参考
自由と正義2025年12月号8頁以下






