ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

メールでの
お問い合わせ

判例(親族と合わせてマンションの区分所有権の過半数を有し、長年にわたって他の区分所有者から管理費と水道代を受け取っていた者について、区分所有法の「管理者」にあたるとしたが、その者の管理者としての業務に不適切な部分があるとして、管理者として解任請求に理由があるとした。)

2025/03/02 更新

  このページを印刷

管理人(管理組合法人)の選任と、管理権

(1)集会の決議で選任された管理者(民法第252条の2第1項、区分所有法26条2項)や、管理組合法人(区分所有法26条6項)は、共用部分に関する管理権を有します。

(2)具体的には、以下のことができます。

 共用部(廊下、エレベーター、ロビー、駐車場など)の維持管理(清掃や修繕)を行う権限があります。

 管理費や修繕積立金を決めて、これを徴収し管理する権限があります。

 集会を開き、その議事を行う権限があります。

 上記のために、取引先と、契約を締結する権限があります。

管理人(管理組合)の解任請求

各区分所有者は、集会の決議によって管理者(管理組合法人の理事)を選任し、または解任できる(区分所有法25条1項、同49条8項)。また、管理者管理組合法人の理事に不正行為があるときには、各区分所有者は裁判所に解任の訴えを提起できる(区分所有法25条2項、同49条8

福岡高判令和6年1月18日

1 事案

(1)Xは、親族と合わせてマンションの区分所有権の過半数を有し、長年にわたって他の区分所有者から管理費と水道代を受け取っていた。

(2)Yらは、前主から区分所有権を取得した。

(3)Yらは、Xの管理に疑問を抱き管理費や水道代を支払わなかった。

(4)XはYらに対し管理者として、管理費と水道代を請求する訴訟を提起した(第一事件)。

(5)Yらは、Xが管理者の地位にないことの確認と、予備的に、Xを解任する訴えを提起した。

2 判決

(1)Xは親族と合わせてマンションの区分所有権の過半数を有し、長年にわたって他の区分所有者から管理費と水道代を受け取っており、Xの管理について長年異議がでなかったこと等を考慮して、Xが管理者としての地位にあるこことを認めた。

(2)水道代については、Xらの独特の計算で、実際よりも多額の水道代を徴収していることから、Xが主張する水道代の支払いの合意が認められないとした。XのYらに対する水道代の請求を否定した。

(3)Yは管理費用を支払う義務がある。

(4)Xは区分所有法上の「管理者」としての地位にあったが、区分所有者の集会の招集義務や、X自身も管理費の不払いがあること、他の区分所有者から余分な水道代を徴収して差額を取得したこと等を考慮して、管理者として解任請求に理由があるとした。

福岡高判令和6年1月18日

判例タイムズ1528号97頁以下

「法律基礎知識」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。