相続廃除と相続欠格

特定の相続人に財産を渡したくない、あるいは権利を失うケースについて解説します。

相続人になるはずの人でも、特定の事情がある場合には相続権を失うことがあります。これを「相続廃除(そうぞくはいじょ)」および「相続欠格(そうぞくけっかく)」といいます。
どちらも「相続できなくなる」という効果は同じですが、その要件や手続きに違いがあります。

1. 相続欠格(そうぞくけっかく)とは

民法で定められた「不正な行為」や「重大な犯罪」をした相続人が、何の手続きもなしに当然に相続権を失う制度です。

欠格事由の例

  • 被相続人や、先順位・同順位の相続人を殺害し、刑に処せられた場合。
  • 被相続人が殺害されたことを知っていながら、告発・告訴しなかった場合。
  • 詐欺や強迫によって、遺言書を書かせたり、撤回・変更させたりした場合。
  • 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合。
⚠️ 注意点
欠格事由に該当するかどうかで争いになった場合、最終的には裁判で決着をつける必要があります。

2. 相続廃除(そうぞくはいじょ)とは

被相続人(財産を残す人)の意思に基づいて、特定の相続人の権利を剥奪する制度です。家庭裁判所への請求が必要です。

廃除できる理由

単に「仲が悪いから」という理由だけでは認められません。以下のような正当な理由が必要です。

  • 被相続人を虐待した。
  • 被相続人に「重大な侮辱」を加えた。
  • その他、著しい非行(ギャンブルでの多額の借金、犯罪行為、長期間の音信不通など)があった。

廃除の方法

以下の2つの方法があります。

  1. 生前の申立て:被相続人が生前に、自ら家庭裁判所に申し立てる。
  2. 遺言による申立て:遺言書に「〇〇を廃除する」と書き、遺言執行者が死後に家庭裁判所に申し立てる。

3. 違いのまとめ

項目 相続欠格 相続廃除
発生原因 犯罪、遺言書の偽造など
(法的な不正行為)
虐待、侮辱、非行など
(被相続人への背信行為)
被相続人の意思 無関係
(自動的に剥奪)
必要
(請求が必要)
対象となる相続人 すべての相続人 遺留分を持つ相続人
(兄弟姉妹は対象外※)
手続き 不要 家庭裁判所への申立てが必要
戸籍への記載 記載されない 記載される

※兄弟姉妹にはもともと遺留分がないため、廃除の手続きをしなくても、遺言書で「相続させない」と書くだけで財産を渡さないようにできます。

4. 代襲相続について

相続欠格や相続廃除によって相続権を失った人に子供がいる場合、その子供が代わって相続(代襲相続)することができます
つまり、「親の罪は子には及ばない」という考え方です。

家庭裁判所への申立てや遺言書の作成は
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