相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)のあらゆる財産が相続の対象になります。
しかし、全ての財産に相続税がかかるわけではありません。ここでは相続財産を4つのカテゴリに分けて解説します。
プラスの財産
不動産・預貯金・株式など、経済的価値のある財産
マイナスの財産
借金・ローン・未払税金など、債務や義務
みなし相続財産
民法上は相続財産でないが、税法上は課税される財産
非課税財産
相続財産だが、相続税がかからない財産
① プラスの財産(積極財産)
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 不動産 | 土地、建物、マンション(区分所有)、農地、山林、借地権、貸宅地 |
| 金融資産 | 現金、預貯金、株式、投資信託、国債、社債、外貨預金 |
| 動産 | 自動車、貴金属、宝石、美術品、骨董品、家具 |
| 事業用財産 | 自社株式、売掛金、機械設備、商品、原材料 |
| 権利 | 特許権、著作権、ゴルフ会員権、リゾート会員権、電話加入権 |
| その他 | 暗号資産(仮想通貨)、貸付金、未収の年金・給与 |
② マイナスの財産(消極財産)
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 借入金 | 住宅ローン、事業ローン、個人間の借金、カードローン |
| 未払金 | 未払いの医療費、未払いの税金(固定資産税・住民税等)、未払家賃 |
| 保証債務 | 他人の債務の連帯保証人になっている場合(主債務者が返済不能な場合に限り控除可能) |
| 葬儀費用 | 通夜・告別式の費用、火葬料(※香典返しや墓地購入費は含まない) |
③ みなし相続財産
民法上は相続財産ではないが、相続税法上は課税対象とされる財産です。
| 項目 | 内容 | 非課税枠 |
|---|---|---|
| 死亡保険金 | 被相続人の死亡により受取人に支払われる生命保険金 | 500万円 × 法定相続人の数 |
| 死亡退職金 | 被相続人の死亡により遺族に支払われる退職手当金 | 500万円 × 法定相続人の数 |
| 生前贈与加算 | 相続開始前7年以内(※)の贈与(暦年課税の場合) | 延長4年分は合計100万円まで控除 |
| 相続時精算課税 | 相続時精算課税制度を選択した贈与財産 | — |
※ 2024年1月1日以後の贈与から段階的に7年に延長
④ 非課税財産
相続で取得しても相続税がかからない財産です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 墓地・仏壇・仏具 | 日常礼拝に使用するもの(※投資目的の金のおりん等は課税される場合あり) |
| 国等への寄付 | 国・地方公共団体・特定公益法人へ寄付した場合は非課税 |
| 心身障害者の給付金 | 心身障害者共済制度の給付金受給権 |
| 弔慰金 | 業務上の死亡は給与3年分、業務外は給与半年分まで非課税 |
⑤ 相続財産に含まれないもの
- 一身専属権:運転免許、医師免許、国家資格など本人限りの権利
- 遺族年金:遺族基礎年金・遺族厚生年金は所得税・相続税ともに非課税
- 香典:社交上の贈答として社会通念上相当な額であれば非課税
- 生命保険金の受取額のうち非課税枠部分
見落としやすい相続財産
⚠️ 申告漏れの多い財産
- 名義預金:子供・孫名義の口座に親が貯めたお金
- へそくり:配偶者名義の預金でも原資が被相続人のもの
- 暗号資産(仮想通貨):取引所の口座を見つけにくい
- 貸付金:親族や知人への貸付も相続財産
- 未収の配当金・利息:死亡日後に受け取った配当金
- ゴルフ会員権:忘れがちだが時価評価で課税対象
まとめ
📌 相続財産のポイント
- プラスの財産だけでなく借金(マイナスの財産)も相続される
- 生命保険金・退職金はみなし相続財産として課税対象
- 墓地・仏壇・遺族年金などは非課税
- 名義預金や暗号資産の申告漏れに特に注意
- 財産の全容を把握するには専門家による財産調査が有効