遺産分割協議で相続人同士の話し合いがまとまらない場合、次の手段として家庭裁判所への「遺産分割調停」があります。
裁判所というと身構えてしまいますが、調停は話し合いの延長であり、裁判(訴訟)とは異なります。
遺産分割調停とは?
遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員が間に入り、相続人同士の話し合いを調整する手続きです。調停委員は裁判官1名と民間の調停委員2名で構成され、各相続人の意見を個別に聞きながら合意を目指します。
| 項目 | 遺産分割協議 | 遺産分割調停 | 遺産分割審判 |
|---|---|---|---|
| 場所 | どこでも | 家庭裁判所 | 家庭裁判所 |
| 第三者の関与 | なし(任意で弁護士) | 調停委員が仲介 | 裁判官が決定 |
| 強制力 | 全員の合意が必要 | 全員の合意が必要 | 裁判官の判断で確定 |
| 費用 | ほぼ無料 | 数千円〜 | 数千円〜 |
| 期間 | 当事者次第 | 6ヶ月〜2年程度 | 数ヶ月〜1年以上 |
調停の流れ(7ステップ)
申立書の作成・提出
相続人の1人(または複数人)が家庭裁判所に申立書を提出します。
裁判所からの呼出し
裁判所から他の相続人全員に呼出状が送付されます。初回の日程は申立てから約1〜2ヶ月後です。
第1回調停期日
裁判所に出頭。調停委員が各相続人から個別に事情を聞きます(相手と顔を合わせなくてOK)。
調停期日の繰り返し
約1ヶ月に1回のペースで期日が開かれます。平均4〜8回程度。
調停成立
全員が合意に達すると「調停調書」が作成されます。調停調書は確定判決と同等の効力を持ちます。
調停不成立
合意に至らない場合は調停不成立となり、自動的に「審判」手続きに移行します。
審判
裁判官が法定相続分や一切の事情を考慮して職権で分割方法を決定します。
申立てに必要な書類
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 申立書 | 裁判所HPからダウンロード可 |
| 被相続人の戸籍(出生〜死亡) | 法定相続情報一覧図で代替可 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 相続人を確定するため |
| 遺産に関する証明書 | 不動産登記簿・預貯金通帳のコピー等 |
| 不動産の固定資産評価証明書 | 不動産がある場合 |
| 相続人全員の住民票 | 現住所確認のため |
費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 収入印紙 | 被相続人1人につき 1,200円 |
| 郵便切手(予納郵券) | 裁判所による(おおむね数千円程度) |
| 弁護士費用 | 依頼する場合は別途(着手金+報酬金が一般的) |
調停を有利に進めるポイント
- 法的根拠に基づいた主張・反論ができる
- 感情的な対立を避け、冷静な交渉が可能
- 調停委員への効果的な説明をしてもらえる
- 書面の作成や証拠の整理を任せられる
- 調停不成立の場合の審判への対応もスムーズ
よくある質問
Q. 調停を欠席するとどうなる?
調停は任意の手続きですが、正当な理由なく欠席を繰り返すと調停不成立となり、審判に移行します。審判では裁判官が法定相続分どおりに分割を決定するため、自分の希望が反映されにくくなる可能性があります。
Q. 調停は非公開?
はい、非公開です。裁判(訴訟)は原則公開ですが、調停は非公開で行われるため、プライバシーが守られます。
Q. 遠方の相続人がいる場合は?
原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てますが、電話会議やウェブ会議による参加が認められるケースもあります。
まとめ
- 協議がまとまらない場合の次の手段
- 調停委員が間に入り個別に話を聞く(対面しなくてOK)
- 費用は数千円と低コスト(弁護士費用は別途)
- 成立すれば確定判決と同等の効力
- 不成立なら自動的に審判に移行
- 弁護士に依頼すると有利に進めやすい