マッチングアプリ・SNS発の不倫が増加している
近年、マッチングアプリ(Tinder、Pairs、Omiaiなど)増や、X(旧Twitter)、InstagramといったSNSをきっかけとした不倫・浮気のトラブルが急増しています。 職場不倫などと違い、もともと全く面識のない相手と容易に出会えることや、匿名性が高くバレにくいと考えて手を染めるケースが多いのが特徴です。
では、このようなアプリやSNSを通じた不貞行為に対して、慰謝料を請求することは可能なのでしょうか?
慰謝料請求は可能だが、「証拠」と「身元特定」が壁になる
結論から言うと、出会いのきっかけがマッチングアプリであろうとSNSであろうと、「配偶者以外の異性と肉体関係を持った(不貞行為があった)」のであれば、法的には通常の不倫と全く同じであり、配偶者および不倫相手に対して慰謝料を請求することが可能です。
ただし、マッチングアプリやSNS特有の壁として、以下の2つの大きなハードルが存在します。
- 肉体関係を証明する証拠が集まりにくい
- 不倫相手の「どこの誰か(氏名・住所)」が分からない
慰謝料を請求(内容証明の送付や裁判の提起)するためには、請求する相手の「氏名」と「住所(または勤務先)」が最低限必要です。SNSのハンドルネーム(例:「みか」「@mika_123」)しか分からない状態では、法的手続きを進めることができません。
不倫相手の身元を特定する方法
相手の身元が分からない場合でも、泣き寝入りする必要はありません。弁護士に依頼することで、以下のような方法で身元を特定できる可能性があります。
① 配偶者のスマホ情報からの特定
配偶者のスマホのLINEやSMS、メールのやり取りの中に、相手の本名、電話番号、住所、勤務先などが推測できる情報が残っている場合があります。 (※ただし、勝手にロックを解除して中身を見る行為はプライバシー侵害のリスクがあるため、証拠収集のやり方については注意が必要です。)
② 弁護士会照会(23条照会)の利用
もし、相手の「携帯電話番号」や「車のナンバー」などが判明していれば、弁護士の特権である「弁護士会照会(弁護士法第23条の2)」を利用して、携帯電話会社や運輸支局に対し、契約者(所有者)の氏名や住所を開示するよう求めることができます。
③ プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求
相手のSNSアカウントしか分からない場合、裁判所の手続きを通じてSNSの運営会社やプロバイダ(通信事業者)に対し、相手のIPアドレスや契約者情報(氏名・住所)の開示を求める手続き(発信者情報開示請求)を行う方法があります。 ただし、この手続きは時間と費用がかかる上、プロバイダのログ保存期間(通常3〜6ヶ月)が過ぎると情報が消去されてしまうため、スピード勝負となります。
「既婚者だと知らなかった」という反論への対処
マッチングアプリ不倫で非常に多いのが、慰謝料を請求された相手が「プロフィールに『独身』と書いてあったから、結婚しているとは知らなかった」と主張してくるケースです。
慰謝料請求が認められるためには、相手に「故意(既婚者だと知っていた)」または「過失(少し注意すれば既婚者だと気づけたはず)」が必要です。 配偶者が巧妙に独身を偽装しており、相手が本当に気づけなかった(過失もない)と裁判所が判断した場合、不倫相手への慰謝料請求は認められない可能性があります。(この場合でも、有責配偶者である夫や妻に対する慰謝料請求は当然可能です)。
これを防ぐためには、「指輪をしている写真が送られていた」「休日は家族サービスだとLINEで伝えていた」など、相手が既婚者であることを知っていた(あるいは疑うべき状況だった)ことを裏付ける証拠も併せて探しておくことが重要です。
まとめ
マッチングアプリやSNSでの不倫は、相手の顔が見えにくい分、証拠収集や身元特定に専門的なノウハウが必要です。 「怪しい」と思ったら、相手に問いただしてデータを消される前に、スクリーンショットを保存するなどして、まずは速やかに弁護士へご相談ください。