協議離婚で「公正証書」を絶対に作成すべき理由と作り方

協議離婚の落とし穴:「口約束」は必ず破られる

日本の離婚の約9割は、夫婦の話し合いのみで離婚届を提出する「協議離婚」です。 協議離婚は早く簡単に手続きできるのがメリットですが、一方で「決めた慰謝料や養育費が、数ヶ月後には支払われなくなる」というトラブルが後を絶ちません。

「相手も納得して約束したから大丈夫」「離婚協議書(自分たちで作った誓約書)にサインしてもらったから安心」と思うかもしれませんが、これらは法的には単なる「契約書」に過ぎません。 もし相手が支払いをバックレた場合、この協議書を武器にわざわざ裁判を起こして勝訴しなければ、相手の給料や財産を差し押さえる(強制執行する)ことができないのです。

この「泣き寝入り」を防ぐための最強の防衛策が、『強制執行認諾文言付き公正証書(きょうせいしっこう にんだくもんごんつき こうせいしょうしょ)』の作成です。

公正証書とは?絶対に作成すべき3つの理由

公正証書とは、公証役場という公的機関で、法律の専門家である公証人が作成する公文書のことです。 協議離婚の条件をこの公正証書にしておくべき最大の理由は以下の3つです。

1. 裁判なしで「即座に差し押さえ」ができる(強制執行力)

公正証書の中に「約束のお金を支払わなかった場合は、直ちに強制執行(給与や預金の差し押さえ)を受けても異議はありません」という一文(強制執行認諾文言)を入れておきます。 これが最大のメリットであり、万が一相手が支払いを滞納した場合、面倒で時間のかかる裁判を一切すっ飛ばして、即座に相手の給料や銀行口座を差し押さえることが可能になります。

2. 相手への強力な心理的プレッシャーになる

「払わなければすぐに給料を差し押さえられて、会社にもバレる」という事実が明確になるため、相手への非常に強力な抑止力(プレッシャー)となり、養育費や慰謝料の支払い継続率が飛躍的に高まります。

3. 法的に完璧な内容で残せる(無効にならない)

自分たちで作った協議書の場合、法的に無効な条件(例:「一生面会させない」「親権は父親だが戸籍は母親」など)を書いてしまったり、表現が曖昧で言い逃れされたりするリスクがあります。公証人が関与することで、法的に完璧で抜け穴のない文書として証拠を残すことができます。

公正証書を作成する手順・流れ

公正証書は離婚届を提出する「前」に作成するのが鉄則です。(離婚後だと相手が協力してくれなくなるため)。

STEP1:夫婦で条件を話し合う(または弁護士が交渉する)

慰謝料の額、養育費の月額と支払い期間、財産分与、面会交流のルールなどを夫婦で取り決め、メモにまとめます。

STEP2:公証役場へ事前相談と案文の作成

取り決めた内容のメモを持ち、近くの公証役場へ行きます(電話予約が必要です)。公証人がそのメモをもとに、法的な文章(公正証書案)を作成してくれます。

STEP3:必要書類の準備

戸籍謄本、印鑑証明書、実印、身分証明書など、公証人から指示された書類を準備します。また、作成手数料(合意した金額に応じて数万円程度)も必要です。

STEP4:夫婦揃って公証役場へ行き、署名捺印する(作成完了)

予約した日時に、夫婦二人で公証役場へ出向きます。公証人が読み上げる内容を確認し、問題なければ双方が実印を押して完成です。 完成した公正証書の原本は公証役場に厳重に保管され、当事者には「正本」「謄本」が交付されます。

相手と顔を合わせたくない・交渉したくない場合

「DVやモラハラで相手の顔も見たくない」「相手が話し合いに応じず、公証役場にも行ってくれない」という場合は、弁護士を代理人に立てるのがベストです。

弁護士にご依頼いただければ、あなたに代わって相手と交渉し、有利な条件を引き出した上で、公証役場での手続き(代理人としての署名捺印)まで全て代行することが可能です。あなたは相手と一切顔を合わせることなく、完璧な公正証書と離婚届を手に入れることができます。

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