DVからの避難は「準備」と「スピード」が命
配偶者から暴力を振るわれている(DV被害に遭っている)場合、「話し合って理解してもらおう」と考えるのは非常に危険です。DV加害者は話し合いの場で激高し、さらなる暴力を振るう可能性が高いためです。
DV被害から抜け出し、安全に離婚を成立させるためには、「相手に一切悟られずに準備を進め、ある日突然、完全に姿を消すこと(別居の強行)」が鉄則となります。
安全に避難・離婚するためのステップ
Step 1: 水面下での事前準備(絶対にバレないように)
相手が仕事で不在にしている時間などを利用し、家を出るための準備を少しずつ進めます。
- 証拠の確保: 暴力を受けた際のケガの写真、壊された家具の写真、脅迫的なLINEのメッセージなどを安全な場所(クラウドストレージや実家の親のスマホなど)に保存します。また、必ず病院(整形外科など)を受診し、DVが原因であることを伝えて診断書を取得してください。
- 当面の生活資金の確保: 自分名義の預貯金通帳や印鑑、クレジットカード、当面の現金(自分名義の口座から少しずつ引き出す等)を確保します。
- 身分証等の確保: マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、年金手帳、パスポートなどを手元に集めます。
- 避難先の確保: 実家が安全であれば実家へ。実家に押し掛けられる危険がある場合は、ウィークリーマンションや、公的な機関(配偶者暴力相談支援センター)を通じた「シェルター(一時保護施設)」の利用を検討します。
Step 2: 警察および支援センターへの相談(相談実績を作る)
家を出る前、あるいは出た直後に、必ず管轄の警察署の「生活安全課」と、「配偶者暴力相談支援センター」にDVの被害を相談してください。 これにより、「DV被害を受けているという公的な記録(相談実績)」が残り、後の保護命令の申立てや離婚調停において、あなたの主張を裏付ける強力な証拠となります。また、相手から警察へ「妻(夫)が失踪した」と捜索願を出された場合でも、DVからの避難であることを警察が把握していれば、居場所を教えることはありません。
Step 3: Xデー(決行日)の別居
相手が確実に不在のタイミングを狙って家を出ます。置き手紙などは必要ありません。 引越し業者を利用する場合は、DV被害者向けの「訳あり引越し」に対応している、秘密厳守の業者を選ぶと安心です。
Step 4: 役所での手続き(住民票の閲覧制限)
家を出て新しい住所に移った後、絶対にやらなければならないのが「住民票・戸籍の附票の閲覧制限の手続き(DV等支援措置)」です。 これを行わないと、相手が役所であなたの住民票を取得し、避難先の住所がバレてしまいます。警察や支援センターで発行してもらった証明書を持参し、役所の窓口で手続きを行ってください。
Step 5: 保護命令の申立てと弁護士を通じた離婚請求
避難が完了したら、相手が近づいてこられないよう、裁判所に「保護命令(接近禁止命令)」を申し立てます。保護命令に違反して近づいてきた場合、相手は逮捕されます。
安全が確保された段階で、離婚に向けた交渉を開始しますが、絶対に自分から直接相手に連絡をしてはいけません。 弁護士を代理人に立て、すべての連絡や交渉を弁護士窓口に一本化します。これにより、相手からの電話やメールに怯えることなく、安全な場所から離婚条件(慰謝料や養育費など)の話し合い(調停)を進めることが可能になります。
お一人で抱え込まず、まずはご相談を
DVの被害に遭われている方は、恐怖で正常な判断ができなくなっていることが少なくありません。「自分が悪いから殴られるんだ」「逃げてもすぐに見つかって殺されるかもしれない」と思い込んでしまうのがDVの恐ろしさです。
命より大切なものはありません。まずは安全な場所から、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士にご相談ください。警察や支援機関とも連携しながら、あなたとお子様の安全を第一に考えた避難と離婚の計画を立案・実行します。