70年ぶりの歴史的転換「選択的共同親権」の導入
これまで日本の法律(民法)では、離婚した後は必ず父母のどちらか一方だけを親権者と定める「単独親権制度」が採用されていました。 しかし、離婚後も両親がともに子育てに関わるべきという国際的な潮流や多様な家族のあり方を背景に、家族法が大きく改正されました。
2026年(令和8年)4月1日から、離婚後であっても父母の合意などによって双方が親権を持つことができる「選択的共同親権制度」がスタートします。
単独親権と共同親権の違い
親権とは、未成年の子どもを監護・教育し、子どもの財産を管理する親の権利と義務のことです。
- 単独親権:親権者となった親(例:母親)だけが、子どもの進学、医療行為、パスポート取得などの重要事項を一人で決定できます。親権を持たない親(例:父親)は、法的決定権を持たず、面会交流や養育費の支払いを通じて子どもと関わることになります。
- 共同親権:離婚後も、父母の「双方が」親権を持ち続けます。子どもの進学先や大きな手術など、子どもの人生を左右する重要な決定事項については、離婚後も父母が話し合って共同で決定することになります。
共同親権下での「日常の決定」はどうなる?
共同親権になると、「お小遣いの金額」や「日々の食事・習い事」まで、すべて別れた相手の同意が必要になるのかと不安に思う方も多いでしょう。 改正法では、日常生活におけるスムーズな子育てを妨げないよう、以下のようなルールが設けられています。
1. 「監護・教育の日常の行為」は単独で決定可能
子どもの日々の食事、服装、通常の学習塾や習い事の選択、風邪を引いた際の一般的な通院など、日常の生活に関する事項は、その時に子どもと同居して面倒を見ている親(監護者)が単独で決定できます。
2. 「急迫の事情」がある場合も単独決定可能
子どもが急病で直ちに救急手術が必要になったり、DVの恐れがあり緊急で避難(引っ越し)しなければならないといった「急迫の事情」がある場合は、もう一方の親の同意を待つことなく、単独で決定・行動することが法的に認められています。
どうやって共同親権になるのか?(決定の仕組み)
離婚時の親権の決め方は、以下のような流れになります。
- 協議(夫婦間の話し合い) 離婚届を出す際に、夫婦で「共同親権にするか」「父親の単独親権にするか」「母親の単独親権にするか」を話し合って決めます。
- 裁判所(家事調停・審判・訴訟) 夫婦間で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所が介入します。裁判所は、父母のこれまでの関係性や子どもの利益を総合的に判断し、「共同親権」とするか「単独親権」とするかを決定します。 ※DVや虐待がある場合は、裁判所は必ず「単独親権」としなければならないと規定されています(後述の別記事で詳述します)。
施行前の離婚(すでに離婚している人)への影響
今回の改正は、2026年4月の施行日「以降」に離婚する人だけが対象ではありません。 すでに単独親権で離婚している父母であっても、施行日以降に家庭裁判所に申し立てを行うことで、単独親権から共同親権へと変更することが可能となります(ただし、当事者間の合意または裁判所の許可が必要です)。
この法改正により、離婚後の子育ての形は大きく変わります。「共同親権にすべきか、単独親権を主張すべきか」お悩みの場合は、新しい法律の運用に精通した弁護士へ早期にご相談ください。