別居中のつきまとい・監視・無言電話への対処|ストーカー行為から身を守る実務

配偶者によるストーカー行為の実態

離婚に向けて別居を開始したにもかかわらず、配偶者が執拗に連絡をしてきたり、待ち伏せをしたりするケースは少なくありません。相手に離婚への未練がある場合や、支配欲から生じる行動ですが、被害者にとっては強い恐怖と精神的苦痛を伴います。

別居中のつきまといや無言電話の法的問題

配偶者(または元配偶者)であっても、相手の意に反して執拗につきまとい、待ち伏せ、監視、無言電話、連続したメールやLINEの送信を行うことは、重大な違法行為です。これらの行為は、被害者の平穏な生活を侵害するものであり、放置すればエスカレートして重大な事件に発展する危険性もあります。

ストーカー規制法とDV防止法の適用

配偶者間のストーカー行為であっても、「ストーカー規制法」の対象となります。また、婚姻中(別居中を含む)の身体に対する暴力や、それに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動がある場合は、「DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)」が適用される可能性もあります。

ストーカー被害から身を守るための具体的措置

ストーカー被害に遭った場合、何よりも優先すべきはご自身の身の安全の確保です。一人で解決しようとせず、公的機関を積極的に活用することが重要です。

警察への相談と警告・禁止命令の申立て

まずは管轄の警察署(生活安全課など)に被害を相談し、状況を正確に伝えてください。警察は、事案の緊急性や悪質性に応じて、相手方に「警告」を発したり、より強力な「禁止命令」を出すことができます。禁止命令に違反した場合、相手は刑事罰に処される可能性があります。

DV保護命令(接近禁止命令)の活用

DV防止法に基づく保護命令の要件を満たす場合、地方裁判所に申し立てを行い、「接近禁止命令」や「電話等通信禁止命令」を出してもらうことができます。この命令が出ると、一定期間、相手はあなたにつきまとったり、電話やLINEをしてきたりすることが禁止されます。違反した場合は厳罰に処されます。

ストーカー行為に対する証拠の集め方

警察を動かしたり、裁判所の手続きを利用したりするためには、被害の事実を裏付ける「客観的な証拠」が極めて重要になります。

有効な証拠の例

以下のような記録は、ストーカー行為を証明するための有力な証拠となります。消去せずに必ず保存・バックアップを取っておきましょう。

  • 通信記録: しつこい着信履歴、無言電話の録音、連続して送られてくるLINEやメールの画面スクリーンショット。
  • 画像・映像: 自宅周辺をうろつく様子を捉えた防犯カメラ映像や写真、ドライブレコーダーの記録。
  • 被害メモ・日記: いつ、どこで、どのような被害に遭ったのかを、時系列で詳細に記録した日記。恐怖を感じた状況や、具体的な行動を客観的に記載します。

ストーカー行為を理由とする離婚と慰謝料

別居中のストーカー行為は、婚姻関係を完全に破綻させる重大な不法行為です。

婚姻を継続し難い重大な事由としての離婚請求

相手が協議離婚に応じない場合でも、ストーカー行為の事実があれば、民法上の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとみなされ、裁判で強制的に離婚が認められる可能性が極めて高くなります。

精神的苦痛に対する慰謝料請求と相場

執拗なつきまといや嫌がらせによって受けた精神的苦痛に対しては、慰謝料を請求することができます。慰謝料の相場は、行為の悪質性、期間、回数、被害者が受けた精神的ダメージ(うつ病やPTSDの診断の有無など)によって大きく異なりますが、数十万円から数百万円に及ぶケースもあります。

相手からの接触を完全に断ち切り、安全を確保した状態で離婚手続きを進めるためには、警察との連携に加えて、弁護士を代理人として立てることが非常に有効です。

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