リストラ等による養育費の減額申し立て|事情変更が生じた場合の適切な減免手続き

取り決め後の養育費は減額できるのか

離婚時に夫婦の合意や裁判所の手続きによって取り決めた養育費は、子どもが自立するまで継続して支払うべき重要な義務です。しかし、離婚から数年が経過するうちに、支払う側(義務者)の経済状況が大きく変化し、取り決めた金額を支払い続けることが困難になるケースがあります。

原則として一方的な減額は認められない

生活が苦しいからといって、自分の判断で勝手に養育費の支払いを停止したり、金額を減らして振り込んだりすることは許されません。公正証書や調停調書で取り決めがある場合、一方的な不払いは給与や預金の差し押さえ(強制執行)を受けるリスクがあります。

減額が認められる「事情変更」とは

一度合意した養育費の金額を変更(減額)するためには、取り決め時点では予測できなかったような重大な事情の変化(事情変更)が生じている必要があります。事情変更が認められれば、適正な手続きを踏むことで法的に養育費の減額や免除が認められます。

養育費の減額が認められやすい具体的なケース

養育費の減額が認められる「事情変更」として、以下のようなケースが挙げられます。

会社の倒産やリストラによる大幅な収入減

勤務先の倒産や業績悪化による解雇(リストラ)など、自身の責任ではない非自発的な理由で失業したり、再就職先での収入が大幅に減少したりした場合、減額の正当な理由として認められやすくなります。

病気や怪我による長期休職・退職

深刻な病気や大きな怪我により働くことができず、長期休職を余儀なくされたり、退職せざるを得なくなった場合も、重大な事情変更とみなされます。この場合、医師の診断書などの客観的な証拠が必要となります。

支払義務者の再婚と新たな扶養家族の誕生

養育費を支払っている側が再婚し、新たな配偶者との間に子どもが生まれた場合や、再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合、法律上の扶養家族が増加することになります。これにより自身の生活水準が低下するため、従前の養育費の支払いが困難であるとして減額が認められるケースが多くあります。

減額が認められにくいケースに関する注意点

一方で、収入が減ったとしても事情変更として認められない、あるいは減額が制限されるケースもあります。

自己都合退職による一時的な無収入

正当な理由のない自己都合での退職や、キャリアアップのための転職活動中などで一時的に無収入になっている場合は、「潜在的な稼働能力(働く力)はある」とみなされ、減額が認められないか、従前の収入額を基準に算定されることがあります。

支払義務者の浪費や借金

ギャンブルや過度な浪費、自身の事業の失敗等による多重債務など、自らの責任で生活が苦しくなった場合、子どもの権利である養育費の減額事由としては原則として考慮されません。

養育費減額の手続きと流れ

養育費の減額を希望する場合、以下のような手順で進めます。

まずは元配偶者との協議(話し合い)

まずは養育費を受け取っている元配偶者に対し、現在の窮状を説明し、減額についての話し合い(協議)を行います。当事者間の合意ができれば、合意内容を明確にするために新たな合意書(できれば公正証書)を作成します。

協議不成立の場合は「養育費減額請求調停」を申し立てる

元配偶者が話し合いに応じない、または合意に至らない場合は、家庭裁判所に「養育費減額請求調停」を申し立てます。調停では、給与明細や離職票などの資料を提出し、調停委員を介して事情変更の必要性を主張しながら話し合いによる解決を目指します。

調停が不成立となった場合の審判

調停でも双方が合意できない場合は、自動的に「審判」の手続きに移行します。審判では、提出された証拠資料や一切の事情を考慮した上で、裁判官が最終的な養育費の金額(減額の可否)を決定し、命令を下します。

トラブルを防ぐためのポイントと弁護士のサポート

養育費の減額交渉は、相手方の強い反発を招くことが多く、当事者同士では感情的な対立に発展しがちです。事情変更に該当するかどうかの法的な見通しや、適正な減額幅の算出には専門的な知識が不可欠です。支払いが苦しくなった場合は滞納を放置せず、速やかに弁護士へご相談いただき、適切な手続きを進めることをお勧めします。

こちらの記事も読まれています