再婚時の連れ子との養子縁組と離婚時の扱い
再婚相手に子ども(連れ子)がいる場合、再婚(婚姻届の提出)と同時に、またはその後に連れ子と「養子縁組」をするケースは多く見られます。しかし、夫婦が離婚することになった場合、この養子縁組の取り扱いについてトラブルになることが少なくありません。
養子縁組がもたらす法的な親子関係
養子縁組を行うと、法律上、実の子と同じ嫡出子としての身分を取得します。これにより、養親と養子の間には扶養義務が発生し、将来的には相続権も生じます。また、婚姻中に養子縁組をした場合、原則として夫婦の「共同親権」となります。
離婚しても自動的には離縁されない
最も誤解されやすいポイントですが、夫婦が離婚をしても、養親と連れ子との養子縁組は自動的には解消されません。配偶者との婚姻関係(夫婦関係)と、養子との養子縁組関係(親子関係)は法律上全く別の制度であるため、養子縁組を解消するには別途「離縁(りえん)」の手続きが必要になります。
離婚時の親権と養子縁組の関係
共同親権から単独親権への移行
離縁を行わずに夫婦の離婚だけを成立させる場合、未成年の子どもの親権者を父母(実親と養親)のどちらか一方に定める必要があります。日本の法律では、離婚後は単独親権となるためです。
養親が親権者になることは可能か
法的には、養親が連れ子の親権者となることも可能です。しかし実務上は、実親がそのまま子どもを引き取り、親権者となるケースが圧倒的に多数です。特別な事情(実親による虐待や育児放棄など)がない限り、実親が親権を持つことが子どもの利益にかなうと判断される傾向にあります。
養子縁組を解消する(離縁)手続き
離婚に伴い、連れ子との法的な親子関係も解消したい場合は、離縁の手続きを行います。
協議離縁による手続き
当事者同士の話し合いで離縁に合意できた場合、市区町村役場に「離縁届」を提出することで成立します(協議離縁)。子どもが15歳以上の場合は、子ども本人の合意が必要です。
子どもが15歳未満の場合の手続きにおける注意点
子どもが15歳未満の場合、子ども自身は離縁の合意ができません。この場合、子どもの「法定代理人」との間で離縁の協議を行う必要があります。離婚と同時に離縁する場合や、離婚後に離縁する場合は、親権者となった実親が法定代理人として手続きを行います。
協議がまとまらない場合の調停・裁判
相手方が離縁に応じない場合は、家庭裁判所に「離縁調停」を申し立てます。調停委員を交えて話し合いを行いますが、それでも合意に至らない場合は調停不成立となり、「離縁訴訟(裁判)」を起こす必要があります。裁判では、法律で定められた離縁事由(悪意の遺棄、生死不明、その他縁組を継続し難い重大な事由)があるかどうかが厳格に判断されます。
離縁後の影響と面会交流・養育費
扶養義務の消滅と養育費の請求
離縁が成立すると、法律上の親子関係が終了するため、養親の連れ子に対する扶養義務は消滅します。したがって、離縁後は原則として養育費を支払う義務はなくなります。逆に言えば、離婚だけして離縁をしていない状態が続くと、離れて暮らしていても養親には養育費の支払い義務が残り続けることになります。
離縁後も面会交流は可能か
離縁により親子関係が解消された後でも、これまで一緒に生活し、事実上の親子として強い絆が形成されていたような場合には、面会交流が認められる余地があります。ただし、法的な権利としての面会交流権が当然に認められるわけではなく、子どもの福祉(子どもの利益)の観点から慎重に判断されます。
連れ子の問題で悩んだら弁護士へ相談を
連れ子との養子縁組に関する問題は、離婚手続きと並行して進める必要があるため複雑化しがちです。離縁すべきかどうか、養育費や親権の問題をどう解決すべきかお悩みの方は、早期に家族法に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。