別居のメリット・デメリットと妥当な期間|事実上の離婚準備期間としての効果
離婚を検討しているものの、相手が話し合いに応じなかったり、同居を続けることで精神的なストレスが限界に達していたりする場合、「まずは別居をする」という選択をする方は多くいらっしゃいます。別居は単に距離を置くだけでなく、法的な離婚手続きにおいても重要な意味を持ちます。ここでは別居のメリット・デメリットと、離婚成立に必要な期間の目安について解説します。
1. 別居をするメリット
離婚に向けた別居には、以下のようなメリットがあります。
精神的・肉体的な負担の軽減
同居による日々の対立や相手の顔を見るストレスから解放され、冷静な状態で離婚に向けた考えを整理することができます。特に、DV(家庭内暴力)やモラルハラスメントを受けている場合は、身の安全を確保することが最優先のメリットとなります。
「婚姻関係の破綻」の証拠となる
相手が離婚を拒否して裁判になった場合、離婚を認めてもらうためには法定離婚事由(婚姻を継続し難い重大な事由など)が必要です。長期間にわたる別居の事実は、夫婦としての共同生活の実態がなく「婚姻関係が破綻している」ことの強力な客観的証拠として扱われます。
婚姻費用(生活費)を請求できる
夫婦には互いに同等の生活水準を維持する義務(生活保持義務)があります。そのため、別居期間中であっても、収入の少ない側は収入の多い側に対して、生活費である「婚姻費用」を請求することができます。相手が支払いに応じない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることも可能です。
2. 別居をするデメリット
一方で、別居には以下のようなデメリットや注意点も存在します。
経済的な負担の増加
世帯が二つに分かれるため、家賃、光熱費、食費などの生活費が二重にかかることになります。婚姻費用の請求が可能とはいえ、同居時よりも経済的に苦しくなるケースが少なくありません。
相手の財産状況が把握しにくくなる
離婚時の「財産分与」では、別居時(または離婚時)の夫婦の共有財産を分け合います。別居をしてしまうと、相手の預貯金残高や保険の解約返戻金、有価証券などの財産状況を把握するのが困難になる恐れがあります。別居前に、できる限りの財産に関する資料(通帳のコピーなど)を確保しておくことが重要です。
3. 離婚が認められるための別居期間の目安
別居が「婚姻関係の破綻」と認められ、裁判で離婚が成立するためには、どの程度の期間が必要なのでしょうか。
明確な法律の規定はありませんが、一般的には別居期間が概ね「3年〜5年」程度に及ぶと、特別な離婚理由(不貞行為や暴力など)がなくても、婚姻関係が破綻していると判断される傾向にあります。
ただし、この期間は絶対的なものではありません。別居に至った経緯、婚姻期間の長さ、未成年の子供の有無などによって総合的に判断されます。例えば、婚姻期間が数ヶ月と非常に短い場合は1年程度の別居でも破綻が認められることがありますし、DVなどの明確な理由があれば別居期間の長短は問われません。
一方で、不貞行為などをした側(有責配偶者)からの離婚請求の場合は、相手の生活保障などの観点から、より厳しい条件(長期間の別居など)が求められます。
4. まとめ
別居は、離婚に向けた有効な準備期間となる一方で、事前の準備を怠ると経済的な不安や財産分与での不利益を招く恐れがあります。別居を検討し始めた段階で、別居のタイミングや持ち出すべき資料、婚姻費用などについて弁護士に相談することで、その後の離婚手続きを有利に進めることが可能になります。