試行的面会交流とは
離婚や別居に伴い、子どもと離れて暮らす親(非監護親)が子どもと会うことを「面会交流」と呼びます。しかし、長期間離れて暮らしている場合や、親同士の対立が激しい場合など、いきなり直接の面会を実施することが子どもに過度な負担をかける懸念があるケースも少なくありません。
このような場合に活用されるのが「試行的面会交流」です。試行的面会交流とは、家庭裁判所の調停や審判の手続きの中で、家庭裁判所調査官の立ち会いのもと、試験的に面会交流を実施する制度です。
制度の目的と概要
試行的面会交流の最大の目的は、子どもが無理なく、安全かつ安心して非監護親と交流できるかどうかを見極めることです。同時に、親同士の協力関係が築けるか、どのような方法であればスムーズに面会を継続できるかを検討するための重要な判断材料となります。
通常の面会交流との違い
当事者間で合意して行う通常の面会交流とは異なり、試行的面会交流は家庭裁判所内の専用の部屋(児童室など)で行われます。おもちゃや絵本などが用意された環境で、心理学や社会学の専門知識を持つ「家庭裁判所調査官」が同席、またはマジックミラー越しに観察しながら実施されるのが特徴です。
試行的面会交流が活用されるケース
試行的面会交流は、すべてのケースで実施されるわけではありません。主に以下のような状況において、家庭裁判所が必要と判断した場合に行われます。
長期間、子どもと離れて暮らしている場合
別居期間が長く、子どもが非監護親の顔を忘れてしまっていたり、どう接していいか戸惑ってしまう可能性がある場合、調査官のサポートを受けながら関係を再構築するために実施されます。
子どもの拒否感が強い、または不安がある場合
子ども自身が面会に対して強い不安を抱いている場合や、拒否的な態度を示している場合、その原因がどこにあるのか(同居親の影響か、過去のトラウマか等)を慎重に見極める必要があります。調査官が子どもの心情に配慮しながら、無理のない範囲で交流を試みます。
親同士の対立が激しく、直接のやり取りが困難な場合
父母の間の葛藤が強く、子どもを挟んだ引き渡しがスムーズに行えない場合、裁判所という第三者の介入がある環境で実施することで、安全に交流が図れるかをテストします。
家庭裁判所における手続きと流れ
調停・審判での検討と実施決定
面会交流調停または審判の中で、話し合いだけでは面会の可否や方法を定めるのが難しいと判断された場合、裁判官の命令により調査官による調査が行われます。その一環として試行的面会交流の実施が決定されます。
家庭裁判所調査官の役割とサポート
実施に先立ち、調査官は父母双方と個別に面談し、これまでの経緯や現在の状況、面会に対する希望や不安を聴取します。また、子どもとも事前に面接し、子どもの心情や発達状況を把握した上で、面会当日の進め方を計画します。
児童室等の利用と当日の流れ
当日は、同居親が子どもを裁判所に連れて行きます。同居親は待合室で待機し、子どもは調査官と一緒に非監護親が待つ児童室へと向かいます。面会時間は通常30分から1時間程度です。面会中は調査官が様子を観察し、必要に応じて間に入って遊びを促すなどのサポートを行います。
実施後の評価と今後の面会交流への影響
調査官による観察と報告書の作成
試行的面会交流が終了すると、調査官は面会中の親子のやり取り、子どもの表情や反応、親の接し方などを詳細に分析し「調査報告書」を作成します。この報告書は裁判官に提出され、調停や審判における極めて重要な証拠となります。
報告結果を踏まえた取り決めの調整
調査の結果、面会交流が子どもにとって有益であると判断されれば、今後の面会の頻度や方法(場所、時間の長さ、受け渡しの方法など)について具体的なルールを取り決めていきます。逆に、子どもに著しい精神的負担がかかると判断された場合は、当面の間は直接の面会を見合わせ、手紙や写真の送付といった間接的な交流にとどめる旨の判断が下されることもあります。
弁護士に依頼するメリット
試行的面会交流は、その後の親子の関わり方を左右する重要なプロセスです。面会時にどのような振る舞いをすべきか、調査官の調査にどう対応すべきかについて、事前に弁護士から法的なアドバイスを受けることで、より良い結果に繋がる可能性が高まります。面会交流でお悩みの方は、離婚問題に精通した弁護士にご相談ください。