特有財産とは何か?
離婚時の財産分与は、婚姻期間中に夫婦が共同で築き上げた財産(共有財産)を分け合う制度です。しかし、すべての財産が分与の対象になるわけではありません。「特有財産(とくゆうざいさん)」と呼ばれる財産は、夫婦が協力して得たものではないため、原則として財産分与の対象から除外され、それぞれの個人のものとして維持されます。
代表的な特有財産には以下のものがあります。
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婚姻前からそれぞれが所有していた財産: 独身時代の貯金、婚姻前に購入した車や不動産など。
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婚姻中であっても、夫婦の協力とは無関係に取得した財産: 親からの贈与、親族からの相続によって得た現金や不動産など。
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一身専属的な性質を持つ財産: 個人の衣類や装身具など。
なぜ特有財産の証明が必要になるのか
「独身時代の貯金だから当然自分のもの」と思っていても、いざ離婚の話し合いになると、相手方から「それは婚姻後に夫婦で築いた共有財産だ」と主張されるケースが多々あります。 裁判実務上、婚姻中に存在する財産は「夫婦の共有に属するものと推定される」(民法第762条2項)ため、それが特有財産であると主張する側が、その事実を客観的に証明(立証)する責任を負います。証明ができなければ、共有財産として分与の対象にされてしまう恐れがあるため、確実な証拠の準備が不可欠です。
特有財産を証明するための具体的な立証資料
特有財産であることを証明するためには、主に以下のような客観的な資料が必要になります。
1. 婚姻前の貯金(預貯金)の場合
最も重要な証拠は「通帳の履歴」です。結婚した日(婚姻届提出日)の直前における預金残高が記された通帳のコピーが強力な証拠となります。もし古い通帳を破棄してしまった場合は、金融機関に「取引履歴明細書」の発行を依頼して過去の履歴を取り寄せます(通常、過去10年程度まで遡ることが可能です)。
2. 相続や贈与で得た財産の場合
親から贈与を受けた現金や、相続した預金については、そのお金の流れを証明する必要があります。
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振込履歴: 親の口座から自分の口座へ振り込まれた履歴がわかる通帳。
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遺産分割協議書や遺言書: 相続によって取得したことを証明する書類。
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贈与契約書や贈与税の申告書: 親族からの贈与であることを示す公的な記録。
3. 婚姻前に購入した不動産・有価証券
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不動産登記簿謄本: 取得日(登記原因日付)が婚姻前であることが記載されています。
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売買契約書: 購入時期や支払った資金の出所を証明します。
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証券会社の取引報告書: 株式や投資信託をいつ取得したかがわかる書類。
共有財産と混ざってしまった場合の対処法
特有財産の証明で最も厄介なのは、独身時代の貯金口座を結婚後の生活費口座として使い続け、特有財産と共有財産(給与など)が混在(混同)してしまったケースです。
お金には色がついていないため、入出金が繰り返されると、残高のうち「どこまでが独身時代のお金で、どこからが結婚後のお金か」が分からなくなります。この場合、特有財産性が否定され、全額が共有財産とみなされるリスクが高まります。 これを防ぐためには、独身時代の貯金口座はそのまま手付かずに保管し、結婚後の生活費口座や貯蓄口座は「新たに開設する」ことが最大のコツです。すでに混ざってしまった場合は、通帳の履歴をひとつひとつ精査し、「生活費の引き出し分」と「特有財産の残存分」を論理的に計算して主張する必要がありますが、これは非常に専門的な作業となるため弁護士への相談が推奨されます。
まとめ
婚姻前の大切な貯金や親から受け継いだ財産を守るためには、「証拠による証明」がすべてです。離婚を考え始めたら、まずは古い通帳を探し、必要であれば金融機関から取引履歴を取り寄せるなど、早めに立証資料を確保しておくことが重要です。特有財産の主張で相手方と揉めている場合は、財産分与に強い弁護士にサポートを依頼することで、正当な財産を確実に守ることができます。
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