離婚時の「年金分割」とは?
「年金分割」とは、婚姻期間中に夫婦が加入していた厚生年金(および共済年金)の保険料納付記録を、離婚時に夫婦間で分割する制度です。
日本では、会社員の夫と専業主婦の妻といった世帯において、将来受け取る年金額に大きな差が生じます。この不公平を是正し、婚姻期間中は「夫婦が共同して厚生年金保険料を納付した(内助の功があった)」とみなして、老後の生活資金を保障するための仕組みです。
【注意点】
- 分割の対象となるのは「厚生年金(報酬比例部分)」のみです。「国民年金(基礎年金)」や「企業年金・個人年金」は年金分割制度の対象外です(企業年金等は財産分与として別途協議します)。
- すでに受給中の年金そのものを半分もらえるわけではなく、「保険料を納付したという記録」を分割するため、実際に年金を受け取れるのは自身の年金受給年齢(原則65歳)に達してからとなります。
年金分割の2つの種類
年金分割には、大きく分けて「3号分割」と「合意分割」の2種類があります。
1. 3号分割(相手の合意が不要)
平成20年(2008年)4月1日以降の婚姻期間中に、専業主婦(夫)として第3号被保険者であった期間がある場合の手続きです。
- 特徴:配偶者(会社員等の第2号被保険者)の合意が不要で、年金事務所で単独で手続きするだけで、対象期間の納付記録を「1/2」に分割できます。
- 対象期間:平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間のみ。
2. 合意分割(相手の合意または裁判手続きが必要)
平成20年3月31日以前の婚姻期間がある場合や、共働きで夫婦ともに厚生年金に加入していた(第3号被保険者ではなかった)期間がある場合の手続きです。
- 特徴:分割するためには、夫婦間の「合意」または裁判所の手続き(調停・審判)が必要です。
- 分割割合:話し合いで決めますが、実務上は「最大である1/2(50%)」と定めるのが原則かつ圧倒的多数です(0.5未満の割合になることは極めて稀です)。
手続きの流れと「年金情報通知書」の取得
年金分割を進めるにあたり、まずは年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得することが必須です。 この通知書には、分割の対象となる期間や、分割按分割合の範囲(最大50%)などが記載されています。50歳以上であれば、分割後の年金見込額も記載されます。
合意分割の場合、相手が協議に応じてくれない(分割に反対している)場合は、家庭裁判所に「年金分割の割合を定める調停(審判)」を申し立てることで、裁判所が「1/2」での分割を命じてくれます。
請求期限は「離婚成立の翌日から2年以内」
年金分割の手続きには厳格な期限があります。 原則として、離婚が成立した日の翌日から起算して「2年以内」に年金事務所へ標準報酬改定請求を行わなければなりません。
2年を1日でも過ぎてしまうと、法的に分割を請求する権利が完全に消滅してしまいます。「財産分与は終わったから大丈夫」と安心してしまい、年金分割の手続きを忘れてしまうケースが散見されるため、離婚届の提出とセットで迅速に手続きを完了させることが重要です。