養育費の金額は「養育費算定表」が基準になる
離婚後の養育費の金額を話し合う際、最も重要な基準となるのが家庭裁判所が公表している「養育費算定表」です。裁判所(調停・審判)でも弁護士による交渉でも、まずこの算定表をもとに目安額を算出するため、正確な読み方を理解しておくことが重要です。
養育費算定表は、義務者(養育費を支払う側)と権利者(子どもを監護する側)の双方の年収と子どもの人数・年齢を軸に、適正な養育費の月額レンジを示した一覧表です。
算定表の基本的な読み方(ステップ解説)
ステップ1:該当する表を選ぶ
養育費算定表は子どもの状況ごとに複数の表が用意されています。
| 表の種類 | 選ぶ条件 |
|---|---|
| 表1〜4 | 子ども1人の場合(年齢が14歳以下・15歳以上で異なる) |
| 表5〜8 | 子ども2人の場合(それぞれの年齢の組み合わせ) |
| 表9〜12 | 子ども3人の場合 |
まずは子どもの人数と年齢(14歳以下か、15歳以上か)の組み合わせから、使う表を特定します。
ステップ2:縦軸(義務者の年収)・横軸(権利者の年収)で交差点を見る
選んだ表の縦軸に「義務者(支払う側)の年収」を、横軸に「権利者(受け取る側)の年収」をあてはめ、交差するセルを読みます。そのセルに記載されている金額(例:「4〜6万円」)が、養育費の月額の目安となります。
ステップ3:年収は「給与収入」か「自営収入」かで異なる
算定表の縦軸・横軸は給与所得者(会社員等)と自営業者で区分が異なります。確定申告書や源泉徴収票を参照し、正確な年収を特定することが必要です。
なお、ここでいう「年収」は税込み・手取りではなく、原則として税込み年収(総収入)を用います。
算定表の「目安レンジ」内の金額はどう決まる?
算定表はあくまで「〇〜△万円」というレンジ(幅)を示すものです。その幅の中でどの金額にするかは、以下のような事情を踏まえて当事者間で合意するか、調停・審判官が総合的に判断します。
- 過去の生活水準や子どもの教育費の実態
- 子どもが私立学校や習い事に通っているかどうか
- 義務者の他の扶養義務(再婚後の子など)の有無
- 権利者が専業主婦で就労が困難な事情
算定表の相場より増額される要因
算定表はあくまで「標準的なケース」を想定しています。以下のような特別な事情がある場合、算定表の上限額を超えた金額での合意や、裁判所による増額認定を求めることができます。
増額が認められやすいケース
① 子どもが私立学校・大学に通っている(または進学予定がある) 公立学校を前提とした算定表では、私立の高額な学費は考慮されていません。学費の実費を踏まえ、増額を主張できます。
② 子どもが病気・障害を抱えており医療費や介護費が多い 算定表は健康な子どもを前提としているため、特別な医療ニーズがある場合は増額理由になります。
③ 義務者の年収が算定表の上限(2,000万円超)を大幅に超えている 算定表は年収2,000万円が上限のため、それを超える高所得者については個別に基礎収入を算出し直して増額を求めることが可能です。
④ 権利者(監護親)が病気・障害等で就労収入を得られない 権利者の収入がゼロまたは非常に低い場合は、義務者の負担割合が増し、増額交渉の根拠となります。
算定表の相場より減額される要因
逆に、義務者側に以下のような事情がある場合は、算定表の下限額以下への減額が認められることがあります。
減額が認められやすいケース
① 義務者が再婚し、新たな家族(再婚相手の子)を扶養している 再婚後に生まれた子や、再婚相手の連れ子を養子縁組している場合は、扶養義務が増加するとして減額の根拠になります。
② 義務者が病気・失業などにより収入が大幅に低下した 離婚時に取り決めた額が支払えなくなった場合、「事情変更の原則」に基づいて減額を求めることができます(ただし一時的な収入減では認められにくい)。
③ 子どもが義務者と同居・引き取りが変わった 子どもの実際の生活状況が変わり、権利者への支払いが実態に合わなくなった場合。
④ 権利者の収入が大幅に増加した 権利者が再就職・昇給などで収入が大幅に増え、双方の経済格差が縮まった場合は減額理由になります。
算定表だけに頼らないことが重要
算定表はあくまで「出発点」に過ぎません。実際の交渉・調停では、双方の生活実態や子どもの具体的な必要額が重要視されます。
特に以下のような場面では、弁護士に相談してご自身の状況に合った金額の見通しを立てることをお勧めします。
- 相手が算定表より低い金額を主張して交渉が難航している
- 子どもの教育費や医療費が特別にかかっており、算定表の金額では不足している
- 相手が自営業者で収入の実態が不明確
- 離婚後に相手の収入が変わり、現在の取り決め額が適切でなくなった
養育費は子どもの権利であり、適正額をしっかり確保することが大切です。ご不明な点はお気軽にご相談ください。