生活費不払い・送金停止を脅し材料にされた場合の現状
離婚の話し合いがこじれたり、相手の意のままにならないことへの腹いせとして、「お前にはもう生活費を渡さない」「家族カードを止める」と脅してくる配偶者がいます。特に、専業主婦(夫)やパート勤務などで経済的に自立していない側にとって、生活費を止められることは死活問題です。
経済的DV(ドメスティック・バイオレンス)に該当する可能性
生活費を意図的に渡さず、相手を経済的に困窮させて支配しようとする行為は「経済的DV」と呼ばれます。これは立派なドメスティック・バイオレンスの一種であり、裁判において婚姻関係を破綻させた原因(悪意の遺棄)と認定される可能性が高い、違法性の強い行為です。
生活基盤を奪う行為の違法性
夫婦には互いに生活を支え合う「生活保持義務」があります。配偶者の同意なく一方的に送金を止めたり、クレジットカードを解約して日々の食材すら買えなくする行為は、法律上の義務違反にあたります。このような脅しに対しては、決して屈することなく毅然とした対応をとることが重要です。
生活費を止められたときの緊急対応
相手が実際に生活費を止めてきた場合、まずはご自身と子供の当面の生活資金を確保するための緊急対応が必要です。
自身の生活資金の確保(預貯金の引き出し・別口座への移管)
相手が生活費を止める兆候を見せた場合、相手名義の口座から引き出すことはトラブルの元ですが、夫婦の共有財産として貯めていた口座や、ご自身名義の口座にある預金は、相手が勝手に引き出せないように直ちに別の口座に移管するか、キャッシュカードと通帳を手元に確保してください。
公的支援や身内への相談
当面の現金が手元にない場合は、ためらわずに実家の両親や親族に一時的な援助を頼みましょう。また、自治体の福祉窓口(生活困窮者自立支援制度など)や、DV相談窓口に事情を説明し、利用できる貸付制度や支援がないか相談することも一つの手段です。
相手に支払いを再開させるための法的措置
生活費の不払いを解決するためには、相手の良心に期待するのではなく、裁判所の手続きを利用して強制的に支払わせる法的なプレッシャーが不可欠です。
婚姻費用分担請求調停・審判の即時申立て
生活費がストップしたら、1日も早く家庭裁判所へ「婚姻費用分担請求調停」を申し立ててください。調停を申し立てた月からしか請求が認められないケースが多いため、スピードが命です。調停委員から相手に対して、法的な支払い義務があることを説得してもらえます。
審判前の保全処分の活用
「このままでは明日食べるものもない」という極度の困窮状態にある場合は、調停の申し立てと同時に「審判前の保全処分」という緊急措置を申し立てることができます。これが認められると、調停の結論が出る前であっても、裁判所から相手に対して仮の生活費を速やかに支払うよう命じてもらうことが可能です。
泣き寝入りせず弁護士に相談を
「生活費を止める」という脅しは、相手をコントロールするための卑劣な手段です。これに対して一人で立ち向かうのは精神的にも非常に過酷です。弁護士に依頼すれば、弁護士から相手方に内容証明郵便を送付するだけで、相手がプレッシャーを感じて支払いを再開するケースも少なくありません。生活を脅かされた時は、迷わず速やかに専門家にご相談ください。