怒りに任せた「職場への連絡」は絶対にNG
配偶者の不倫(不貞行為)が発覚し、相手の連絡先や勤務先が判明したとき、「会社に不倫の事実をバラして社会的な制裁を与えてやる」「職場に怒鳴り込んでやる」という激しい怒りを感じるのは無理のないことです。
しかし、不倫相手の職場に対して不倫の事実を暴露したり、会社宛てに内容をむき出しにして手紙を送ったりする行為は、法的に極めて危険な行為(NG行動)です。 一歩間違えれば、あなたが被害者であるにもかかわらず、逆に加害者として訴えられ、不利な立場に追い込まれることになります。
職場への暴露が引き起こす3つの法的リスク
1. 名誉毀損罪・侮辱罪に問われるリスク
不倫という事実は、相手の社会的評価を著しく低下させる情報です。たとえそれが「真実(事実)」であったとしても、職場の上司や同僚など「不特定多数」が知り得る状態(公然)で事実を摘示した場合、刑法上の「名誉毀損罪」が成立する可能性があります。 刑事罰だけでなく、相手から「名誉を傷つけられた」として民事上の損害賠償(慰謝料)を逆に請求される恐れがあります。
2. 業務妨害罪に問われるリスク
相手の会社に何度も電話をかけたり、職場に直接押しかけて騒いだりした場合、会社の正常な業務を妨害したとして「威力業務妨害罪」などに問われる可能性があります。会社側から警察に通報されたり、会社から損害賠償を請求されたりする危険があります。
3. プライバシー侵害のリスク
不倫の事実は極めて高度なプライバシー情報です。業務と全く関係のない個人的なトラブルを職場に持ち込み、周囲に知らしめる行為はプライバシー権の侵害にあたり、やはり不法行為として損害賠償の対象となります。
慰謝料を請求する「内容証明郵便」を職場に送ることはできるか?
「会社にバラすわけではないが、相手の自宅の住所が分からないため、慰謝料を請求する内容証明郵便を相手の勤務先宛てに送りたい」というご相談をよく受けます。
結論から言えば、正当な理由(自宅住所が不明など)があり、かつ「封筒の表書きを『親展』とするなど、本人以外の従業員が中身(不倫の事実)を見ないような配慮」を尽くしていれば、直ちに違法とはならないケースが多いです。
しかし、それでも「会社に怪文書が届いた」と騒ぎになったり、事務員が誤って開封してしまったりして、結果的に名誉毀損やプライバシー侵害を主張されるトラブルの火種になるリスクは残ります。
正しく安全に慰謝料を請求するには
相手に社会的制裁を与えたいという気持ちは痛いほど分かりますが、感情的な行動は百害あって一利なしです。安全かつ確実に慰謝料を回収するためには、以下の手順を踏むことをお勧めします。
- 弁護士に依頼して自宅住所を調査する 相手の携帯電話番号などが分かっていれば、弁護士会照会(23条照会)を通じて相手の自宅住所を割り出すことが可能です。自宅が分かれば、職場に連絡するリスクを冒す必要はありません。
- 弁護士名義で内容証明郵便を送る 弁護士という法的な代理人が介入することで、相手に「逃げられない」という強いプレッシャーを与えることができます。
- 「会社に知られたくなければ支払え」は恐喝になるので注意 交渉の際、「慰謝料を払わないなら会社にバラすぞ」と脅すことは「恐喝罪」に該当する恐れがあります。交渉はすべて弁護士に任せ、「法的な手続き(裁判や給与の差し押さえ)に進めば、結果として会社に知られる可能性がある」という事実を、法的に正しいトーンで伝えることが重要です。
不倫トラブルの解決は、感情を抑えて「法律というルールブック」に則って戦うことが最大の近道です。まずは弁護士にご相談ください。