「弁護士費用を払うから離婚してほしい」と言われたときに潜むリスク
配偶者から突然、「早く離婚してくれ。その代わり、君にかかる弁護士費用や自分の弁護士費用もこちらですべて持つから、この条件で手を打ってほしい」と言われたとき、どう対応すべきか迷われる方は少なくありません。
一見すると、こちらが金銭的な負担をせずに離婚できる魅力的な提案に思えるかもしれません。しかし、離婚実務の現場においては、このように相手が急いで自分の費用まで負担してでも離婚を迫るとき、何らかの重大な隠し事や、法的に不利な事実を隠そうとしている背景が隠されているケースが多々あります。
夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、こうした提案を受けた際に冷静に見極めるべきポイントと、損をしないための具体的な対処法について詳しく解説します。
相手が自ら費用を出してまで急ぐ本当の理由
配偶者が自身の弁護士費用を負担してでも早期の離婚を望む場合、主に以下のような動機やリスクが考えられます。
- 不貞行為(浮気・不倫)などの有責事由の隠蔽:裁判や本格的な調査になれば高額な慰謝料請求や社会的信用に関わる証拠が出ることを恐れ、示談でスピード解決を図りたいケース。
- 財産分与の額を本来より少なく抑えたい:相手が所有する不動産や株、高額な預貯金、退職金などの隠し財産について、詳細な調査をされる前に低い金額で話をまとめたいケース。
- 新しい交際相手や再婚への急ぎ:私生活上の都合から、一刻も早く独身の法的ステータスを手に入れたいケース。
このように、相手が主導権を握ったまま提示してくる条件は、「弁護士費用を出す代わりに、本来得られるはずの大きな財産分与や慰謝料を放棄させる」という巧妙な罠である危険性があります。
正当な財産分与・慰謝料・弁護士費用を合算した和解の基本
もし相手の提案に乗る場合であっても、口約束や曖昧な覚書で済ませては絶対にいけません。離婚条件の合意にあたっては、以下の要素をクリアしているかを厳密に計算する必要があります。
- 本来受け取るべき財産分与:婚姻期間中に築いた夫婦の共有財産(預貯金、不動産、保険、有価証券、自動車など)を、原則として2分の1の割合で正確に算出した額。
- 不貞やDVに対する慰謝料:相手に法的な離婚原因(有責事由)がある場合に請求できる慰謝料の適正額。
- こちらの弁護士費用相当額:相手が「費用を払う」と口頭で言っている場合でも、合意書面(離婚協議書や和解契約書)の中に、具体的な弁護士費用・専門家費用として支払う金額を明確に明記させること。
相手が提示する「弁護士費用を払う」という言葉をうのみにして、総額でいくらになるのかを精査しないままハンコを押してしまうと、結果的に数百万円単位の財産を失うことになりかねません。
2026年改正民法および近年の法改正を踏まえた注意点
離婚実務を取り巻く法制度は日々変化しています。特に財産分与請求権の除斥期間(期間制限)や、親権・養育費に関する近年の法改正動向を踏まえると、目先のまとまった金銭や費用負担の甘い言葉だけで将来の権利を放棄することは非常に危険です。
- 財産分与の時効・期間に注意:離婚から一定期間が経過すると、財産分与の請求権が消滅してしまうため、離婚時にすべての清算を終わらせておく必要があります。
- 養育費・面会交流の確実な取り決め:子供がいる場合、弁護士費用や慰謝料の話だけに気を取られ、将来にわたる養育費の金額や支払方法、面会交流のルールを曖昧にしてはいけません。公正証書にして強制執行受諾文言を付けておくことが不可欠です。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所の解決方針とサポート
相手からこのような有利に見える提案を受けたときほど、ご自身だけで判断せず、まずは離婚問題に精通した弁護士にご相談ください。当事務所では、以下のようなトータルサポートを提供しています。
- 提案された和解案の妥当性診断:相手の提示額が、本来の財産分与や慰謝料の相場と比べて本当に得であるか、隠れ資産がないかを徹底的に検証します。
- 合意書・和解契約書の厳密な作成:「弁護士費用の負担条項」「清算条項(これ以上の請求をしないという条項の適法な範囲)」など、後々のトラブルを防ぐための法的拘束力のある書面を作成します。
- プライバシーに配慮した面談スペースでのご相談:落ち着いた相談ブースをご用意しており、デリケートなご事情や配偶者に対する不安を安心してお話しいただけます。
「相手が弁護士費用を出すと言っているから大丈夫だろう」と安易に署名する前に、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。あなたの権利と将来の生活を守るため、最も有利かつ安全な解決への道筋をご提案いたします。
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