親権・監護権・面会交流

面会交流中の「写真・動画のSNS投稿禁止」特約を調停調書へ盛り込む

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第763条(協議離婚)、第770条(裁判離婚)、第768条(財産分与)、2026年改正民法(共同親権・法定養育費)の規定および多数の離婚・親権・財産分与の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q: 面会交流中の「写真・動画のSNS投稿禁止」特約を調停調書へ盛り込む
A: 面会交流時に撮影された子どもの写真や動画が、別居親によって無断でSNSへ公開される事例が後を絶ちません。子どものプライバシーや将来への悪影響を防ぐため、家庭裁判所の調停や審判において「SNS等への写真・動画の掲載禁止」を明確に合意し、調停調書に特約として条文化することが極めて有効です。夕陽ヶ丘法律事務所では、実効性のある文案作成から相手方との交渉まで、安心のサポートを提供しています。

離婚後、離れて暮らす子どもと定期的に会う「面会交流」は、子どもの健全な成長にとって重要な権利と位置づけられています。しかし、面会交流の場面で撮影された子どもの写真や動画が、相手方(別居親)によって個人のSNS(Instagram、X、Facebook、TikTokなど)やブログに無断で公開されるというトラブルが深刻な問題となっています。

インターネット上に一度流出したデジタルタトゥーは、完全に削除することが困難です。子どものプライバシーや肖像権、さらには個人特定による誘拐やストーカー被害などの安全上のリスクを守るため、面会交流の取り決めを行う際には、写真・動画のSNS投稿禁止特約を調停調書に確実に盛り込むことが必要不可欠です。

面会交流におけるSNS投稿の危険性と法的課題

現代のデジタル社会において、親が自分のSNSアカウントで子どもの日常を発信することは珍しくありません。しかし、離婚によって別居し、対立関係にある父母の間では、この「発信の自由」が大きな禍根を生む原因となります。

子どものプライバシー権と肖像権の侵害

子どもであっても、自分の姿やプライベートな生活情報を勝手に公表されない権利(プライバシー権)および自身の姿を撮影・公表されない権利(肖像権)を持っています。たとえ実の親であっても、親権者・監護権者の意向を無視して子どもの写真を不特定多数が閲覧できるSNSにアップロードすることは、これらの人格権を侵害する行為にあたります。

位置情報や学校名の特定による安全上のリスク

写真は、撮影された背景の風景や電柱、制服のデザインなどから、子どもが通う学校や習い事の場所、自宅の周辺エリアなどの詳細な位置情報(ジオタグ)を特定される危険性を孕んでいます。離婚に伴う感情的な対立が先鋭化している場合、相手が悪意を持って居場所を特定し、連れ去りや接触を図るリスクも完全に否定できません。

調停調書に「SNS投稿禁止特約」を盛り込むべき理由

口頭での約束や、当事者間で作った私的な合意書では、法的拘束力が弱く、相手が約束を破ってSNSに写真を投稿した際の抑止力として不十分です。そのため、家庭裁判所の離婚調停面会交流調停の場において、調停調書という公文書の中に具体的な禁止条項を明記させることが極めて重要となります。

裁判所の調停調書が持つ強い法的効力

調停調書に記載された合意事項は、確定判決と同一の強い効力(債務名義)を持ちます。万が一、相手が調停条項に違反して子どもの写真をSNSに投稿した場合、裁判所を通じた履行勧告や、場合によっては間接強制(義務を履行させるための金銭的ペナルティの課徴)の申し立てを行うための基礎資料となります。

法律上の根拠や実効性を高めるためには、専門的な法的知識を持つ弁護士のサポートを受けながら、調停条項の文面を緻密に設計することが成功の鍵となります。

実務で使える「SNS投稿禁止」の具体的な条文例

調停調書に記載する特約は、曖昧な表現を排除し、誰が読んでも解釈の余地がない具体的かつ厳格な文言にする必要があります。夕陽ヶ丘法律事務所が実務で推奨する一般的な条文化の構成例は以下の通りです。

  • 第〇条(写真等の撮影および取り扱い) 相手方は、面会交流の実施にあたり、子どもの健全な成育環境およびプライバシー保護のため、以下の事項を厳守しなければならない。
  • 2 相手方は、面会交流中に子どもを撮影した写真、動画、音声、その他子どもに関する個人情報を、本人の同意の有無にかかわらず、SNS(Instagram、X、Facebook、TikTok等を含む)、ブログ、インターネット上の掲示板、その他不特定多数者が閲覧可能な媒体に一切掲載、送信、または公開してはならない。
  • 3 前項の写真は、あくまで個人の私的なアルバムや記録の範囲内でのみ保有するものとし、第三者への共有や譲渡もこれを禁止する。

このように、SNSのプラットフォームを具体的に例示しつつ、「一切掲載、送信、または公開してはならない」と網羅的に禁止することで、言い逃れを許さない強固な取り決めとすることが可能です。

2026年改正民法を踏まえた親権・監護の視点

2026年に施行される改正民法では、離婚後共同親権の導入や、それに伴う子の監護に関する規律の明確化が進められています。共同親権が選択された場合であっても、日々の監護や面会交流の現場において、どちらの親がどのような範囲で子どもの情報を発信する権利を持つかについては、大きな議論となります。

法律上、日常のささいな監護権を行使する親(主たる監護者)の意向に反して、別居親が子どものプライベートな姿をネット上に拡散することは、共同親権の趣旨に照らしても「子の利益」を害する不適切な行為と評価されやすくなります。改正民法の施行により、子どもの利益とプライバシー保護の重要性はさらに高まっており、家庭裁判所における調停実務でも、SNS投稿を制限する特約の必要性がより肯定的に受け入れられる傾向にあります。

相手がSNS投稿禁止特約に違反した場合の対処法

どれほど厳格な調停調書を作成しても、相手がそれを無視して写真を投稿してしまう事態が起こり得ます。そのような場合の法的対処法を知っておくことで、迅速に被害を最小限に抑えることができます。

  • 速やかな証拠保全: 相手が投稿した画面のスクリーンショット(投稿日時、アカウント名、URL、写真全体が写ったもの)を複数残し、客観的な証拠を確実に保全します。
  • プラットフォームへの削除依頼: 各SNS事業者が設けているプライバシー侵害や未成年者の権利侵害に関する窓口を利用し、直ちに投稿の削除を申し立てます。
  • 弁護士を通じた警告と法的措置: 代理人弁護士を通じて相手方に対し、調停条項違反に基づく厳重な抗議と即時削除、および再発防止を求める通知書を送付します。悪質な場合は、面会交流自体の制限や停止を求める審判の申し立てを検討します。

面会交流のトラブルや特約作成は弁護士にご相談ください

子どもの面会交流における写真・動画のSNS投稿問題は、感情的な対立が絡みやすく、当事者間での話し合いが難航する典型的なテーマです。「思い出を残したい」という相手の主張と、「子どもの安全とプライバシーを守りたい」という監護親の思いが衝突するため、第三者である専門家の介入が極めて有効です。

夕陽ヶ丘法律事務所では、離婚・親権・面会交流に関する豊富な解決実績を有する弁護士が、ご依頼者様の不安に寄り添い、プライバシーに配慮した落ち着いた相談ブースにて丁寧にお話を伺います。相手方との交渉から実効性のある調停調書の作成、万が一の違反時の法的対応まで、一貫してサポートいたしますので、一人で悩まずにぜひ当事務所へご相談ください。

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