2026年改正民法・共同親権

養育費の「終期(いつまで貰えるか?)」:18歳高校卒業 vs 22歳大学卒業

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第763条(協議離婚)、第770条(裁判離婚)、第768条(財産分与)、2026年改正民法(共同親権・法定養育費)の規定および多数の離婚・親権・財産分与の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q: 養育費の「終期(いつまで貰えるか?)」:18歳高校卒業 vs 22歳大学卒業
A: 成人年齢が18歳に引き下げられたことで、養育費の終期が「18歳まで」になるのかというご不安の声を多く頂戴します。結論として、法律上の扶養義務と養育費の終期は必ずしも一致しません。近年の実務傾向や大学進学率の高さを踏まえ、家庭裁判所の調停や審判では「22歳に到達した後の最初の3月まで」と設定されるケースが主流です。ただし、自動的に22歳まで延長されるわけではないため、離婚協議の段階で明確な合意文書を作成することが不可欠です。夕陽ヶ丘法律事務所では、将来の進学費用や大学費用を見据えた確実な取り決めをサポートいたします。

離婚を検討する際、あるいはすでに別居して話し合いを進めている際、もっとも大きな争点の一つとなるのが養育費です。 特に「子どもが何歳になるまで養育費を払い続けるのか(あるいは受け取れるのか)」という終期の問題は、受給する側の生活設計や、支払う側の経済的負担を左右する極めて重要な要素です。

近年、民法の改正によって成人年齢が18歳に引き下げられたため、世間では「養育費も18歳までで終わってしまうのではないか」という誤解が広がりを見せています。 実際の法律実務や家庭裁判所の判断はどのように運用されているのでしょうか。 本記事では、18歳高校卒業説と22歳大学卒業説の法的根拠を整理し、離婚時の実務的な対策について詳しく解説します。

成人年齢の引き下げと養育費の終期の関係性

民法改正により、成人年齢が従来の20歳から18歳に引き下げられました。 この法改正は、若年者の社会参加を促す観点から行われたものですが、「成人=親の経済的支援(養育費)が終了する年齢」と直結するわけではありません。

「成人」と「未成熟子」の法的違い

法律において、私法上の行為能力としての「成人」と、親が子どもに対して負う「扶養義務」の終期は概念が異なります。 親が子どもに対して負う生活保持義務(自分と同程度の生活を保障する義務)の対象は、「未成熟子(みせいじゅくし)」です。 未成熟子とは、経済的・社会的に自立しておらず、自分自身の力だけでは生活できない子どものことを指します。

成人年齢が18歳に引き下げられた後であっても、18歳を迎えた高校生や大学生の多くは、まだ自立して生活基盤を築くことができません。 したがって、子どもが18歳に達したからといって、当然に親の扶養義務や養育費の支払い義務が消滅するわけではないのが実務上の原則です。

18歳高校卒業説と22歳大学卒業説の現状

では、実際の離婚協議や裁判所の手続きにおいて、養育費の終期はどのように判断されているのでしょうか。

18歳高校卒業を終期とする考え方

原則論として、高校を卒業してすぐに就職し、自ら収入を得て生活する予定の子どもの場合、養育費の終期は「18歳に到達した日の属する月」や「高校卒業時」とされるケースがあります。 また、過去の古い裁判例や、当事者間の合意において「成人まで」と曖昧に定めていた場合、民法改正を理由に支払義務者が18歳時点での打ち切りを主張するトラブルも散見されます。

22歳大学卒業(大学の終期)を終期とする考え方

現代の社会構造において、大学や短期大学、専門学校などの高等教育機関への進学率は非常に高くなっています。 家庭裁判所の調停や審判の実務では、子どもが大学等の高等教育に進学する(あるいは進学が確実視される)場合、大学を卒業する年齢である「22歳に到達した後の最初の3月まで」を養育費の終期とするのが一般的なスタンダードとなっています。

家庭裁判所における実際の調停・審判の傾向

離婚事件において、夫婦間で養育費の終期について意見が対立し、家庭裁判所の調停や審判に移行した場合、裁判所はどのような基準で判断するのでしょうか。

  • 子どもの進学意欲と学力の状況(現実に大学進学を目指しているか)
  • 父母の学歴や経済的社会的背景(これまでの養育環境や収入水準)
  • これまでの養育に関する協議の経緯

裁判所はこれらの要素を総合的に考慮し、子どもが大学を卒業して自立するまでの間は親として経済的支援を行うべきであるという観点から、22歳までの継続を妥当と判断することが多くなっています。 特に、子どもが中学生や高校生といった若い年齢である場合、将来の大学進学を前提として、終期を22歳と定める算定が実務上定着しています。

2026年改正民法・共同親権制度における留意点

2026年に施行される改正民法や共同親権制度の導入にあたっても、子どもの養育費に関するルール整備が進められています。 共同親権が選択できるようになった場合でも、別居親の養育費支払い義務が免除されるわけではありません。 むしろ、父母双方が子どもの養育に責任を持つという共同親権の理念からすれば、高等教育を受けるための費用負担の重要性はより一層高まるといえます。

また、法改正によって「法定養育費(一定の額を法律上請求できる仕組み)」の議論などもなされていますが、個別の事情に応じた柔軟な取り決めを行うためには、やはり専門家である弁護士を交えた協議が極めて有効です。

離婚協議書や調停調書における具体的な記載方法

養育費の終期を巡るトラブルを未然に防ぐためには、離婚時に取り交わす「離婚協議書」や「公正証書」、あるいは家庭裁判所の「調停調書」の文言に細心の注意を払う必要があります。

  • 「子どもが満22歳に達する日の属する月まで支払う」という具体的な表現を用いる
  • 「大学等(短大・専門学校含む)に進学した場合は22歳到達後の3月まで、進学しない場合は18歳到達後の3月まで」といった条件付きの条項を設定する
  • 留年した場合や大学院に進学した場合の取り扱いについて事前に明記しておく

曖昧な表現のまま「成人まで」と記載してしまうと、将来的に「18歳になったのだから支払い終了だ」と主張されてしまい、再度調停を起こさざるを得なくなるリスクが生じます。

夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が提供する法的サポート

養育費の金額だけでなく、「いつまで支払うか」という終期の設定は、お子様の将来の進学や生活に直結する非常にデリケートかつ重大な問題です。 相手方配偶者が「18歳で打ち切りたい」と主張して譲らない場合や、将来の学費負担に関する合意がまとまらない場合は、法的根拠に基づいた交渉が必要となります。

夕陽ヶ丘法律事務所では、プライバシーに配慮した落ち着いた相談ブースにて、ご依頼者様の状況やお子様の年齢・進路計画を丁寧にお伺いいたします。 最新の法改正や裁判例の動向を踏まえ、将来にわたる安心を守るための確実な合意書作成や代理交渉をサポートいたしますので、養育費の終期でお悩みの際は、ぜひ当事務所の弁護士へご相談ください。

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