2026年改正民法・共同親権

離婚後に住宅ローン完済された自宅の持分(1/2)の譲渡を勝ち取った例

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第763条(協議離婚)、第770条(裁判離婚)、第768条(財産分与)、2026年改正民法(共同親権・法定養育費)の規定および多数の離婚・親権・財産分与の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q 離婚から4年以上経過し、住宅ローンが完済された元夫との共有名義の自宅(持分1/2)について、今から財産分与を請求して自分の持分の譲渡や金銭解決を勝ち取ることはできますか?
A 【結論と法的判断基準】離婚から時間が経過していても、原則として離婚後2年の除斥期間(※2026年改正民法等の動向や法的構成による主張の余地)内、あるいは協議・調停の申し立て要件を満たしていれば、財産分与として適正な不動産価格に基づく持分の移転や代償金の請求が可能です。特に住宅ローンが完済されている自宅は金融機関の抵当権がないため、正確な不動産査定を実施した上で、共有物分割請求なども視野にいれて適正な持分評価に基づく金銭解決や譲渡を目指すことができます。
【弁護士による解決サポート】相手方との直接の話し合いが破綻している場合や、固定資産税の負担などで揉めている場合でも、弁護士が代理人として介入し、家庭裁判所での調停手続きを通じて適正な時価評価に基づく財産分与をトータルでサポートします。感情的な対立を避け、依頼者様が納得できる条件での自宅持分の譲渡や金銭解決を勝ち取るために、早めの法律相談が不可欠です。

離婚に際して最も大きな財産的争点となりやすいのが、夫婦共有名義の自宅不動産です。特に住宅ローンが完済されている場合、資産価値がそのまま財産分与の対象となるため、双方の主張が対立しやすくなります。

今回は、離婚後4年目に自宅不動産の分与調停を起こし、ローン完済済みの持分(1/2)の適正評価に基づく金銭解決を勝ち取った事例をベースに、不動産トラブルを解決するための法的アプローチを詳しく解説します。

離婚後に自宅持分が残る典型的な問題とリスク

離婚時に「とりあえずそのままにしておこう」と話し合いを先送りにした結果、後々大きなトラブルに発展するケースは決して少なくありません。

  • 離婚から時間が経過したことで関係性が悪化し、任意の話し合いが完全に破綻する
  • 相手が自宅に住み続けたまま固定資産税を支払わなかったり、建物の管理を放置したりする
  • 再婚や生活環境の変化によって、不動産を処分したくなった際に協力が得られない

特に、住宅ローンが完済されている不動産は、金融機関の抵当権が抹消されているため、理論上は自由に売却や持分の移転ができる状態です。しかし、共有持分を持っているだけでは、現金化して生活資金に充てることは困難です。

離婚後4年目に挑んだ財産分与調停のプロセス

今回の事例では、依頼者様(妻)が離婚後4年が経過した時点で、元夫に対して自宅不動産の共有持分に関する財産分与請求の調停を申し立てました。

1. 不動産の正確な時価評価(査定)の実施

財産分与において最も重要となるのは、現在の不動産の適正価格(時価)をいかに証明するかという点です。離婚から年数が経っている場合、当時の価格ではなく、調停申し立て時点の時価が基準となります。

公的な相談窓口や弁護士会等では、複数の不動産鑑定士や信頼性の高い査定会社と連携し、客観的で精度の高い評価額を算出。元夫側が主張する不当に低い価格に対抗するための強力な根拠資料としました。

2. 財産分与の除斥期間(時効)に関する法的検討

民法上、離婚時の財産分与請求権には、離婚の時から2年という期間制限(除斥期間)が定められています。そのため、「離婚後4年目」というタイミングでの請求には法的なハードルが存在しました。

しかし、弁護士が相手方との間で過去に交わした書面や、財産分与に関する協議の継続性を綿密に法的に構成し、権利が消滅していないことを主張・立証することに成功しました。さらに、2026年施行の改正民法における議論や近年の実務動向を踏まえ、依頼者様の正当な権利を守るための緻密な法的アプローチを採用しました。

3. 調停における代替案の提示と金銭解決への誘導

元夫側は「自分はこの家に住み続けたい」「持分を渡す気はない」と強く拒絶していましたが、裁判所(調停委員会)を介して現実的な解決案を提示しました。
  • 元夫が自宅を単独所有にする代わりに、妻の持分(1/2)に相当する現金を一括で支払う(代償分割)
  • もしそれが不可能な場合は、第三者へ売却して売却代金を折半する

最終的に、元夫側も公正な評価額に基づく代償金の支払いに応じざるを得なくなり、調停成立とともにまとまった金銭を受け取ることができました。

自宅の持分問題を有利に進めるための弁護士の役割

不動産が絡む財産分与は、単なる感情のぶつかり合いではなく、不動産鑑定、民法の解釈、調停・審判の手続きといった高度な専門知識が要求されます。

公的な相談窓口や弁護士会等では、プライバシーに配慮した落ち着いた相談ブースをご用意し、依頼者様のお話を丁寧にお伺いしております。離婚後に相手が不動産を手放さない、適正な価格で清算してほしいといったお悩みを抱えている方は、ぜひ一度法テラスや弁護士会等の公的相談窓口へご相談ください。確実な証拠収集と粘り強い交渉で、あなたの正当な権利の実現を全力でサポートいたします。