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子どもが「重度の身体・知的障害」を抱えるご家庭の離婚:親なき後・介護費用

大阪弁護士会所属 弁護士 井上正人 監修

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、民法第763条(協議離婚)、第770条(裁判離婚)、第768条(財産分与)、2026年改正民法(共同親権・法定養育費)の規定および多数の離婚・親権・財産分与の実務実績に基づきわかりやすく解説しています。

Q: 子どもが「重度の身体・知的障害」を抱えるご家庭の離婚:親なき後・介護費用
A: 重度の障害がある子どもを抱える離婚では、成人後も続く扶養義務や「親なき後」の生活保障が最大の焦点となります。通常の養育費は20歳までとされがちですが、自活できない障害児の場合は成人に達した後も生活費や介護費用の請求が可能です。弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、障害者信託や成年後見制度の活用を見据え、将来にわたる確実な財産確保と離婚条件の合意をトータルでサポートします。

子どもに重度の身体障害や知的障害がある場合の離婚は、通常の離婚手続きとは異なり、極めて高度な法的配慮と将来予測が求められます。

「子どもが成人した後も、これまでの生活を維持できるだけの経済力をどう確保するか」 「自分が亡くなった後(親なき後)、子どもの財産や生活は誰がどのように守るのか」

こうした切実な不安を抱えたまま、感情的な話し合いだけで離婚を進めてしまうと、将来的に子どもが経済的・生活的な困窮に陥るリスクが高まります。

本記事では、重度の障害を持つ子どもの離婚における養育費の法的性質、成人後の請求方法、そして「親なき後」を見据えた財産分与や信託制度の活用法について、法律実務の視点から詳しく解説します。

1. 重度の障害がある子どもの離婚:通常の離婚と何が違うのか

健常な子どもの場合、離婚時の最大の関心事は「親権者をどちらにするか」「面会交流をどうするか」、そして「養育費をいつまで支払うか(一般的には成人に達するまで)」という点に集約されます。

しかし、重度の身体障害や知的障害を抱える子どもの場合、状況は大きく異なります。

  • 成人後も続く自立不可能性: 成年(18歳や20歳)に達しても、自身の労働によって生活費や医療・介護費用を稼ぐことが客観的に困難であるケースが多々あります。
  • 膨大かつ継続的なコスト: 医療費、通院の交通費、専門的な介護サービス利用料、補装具の費用など、健常児に比べて圧倒的なコストがかかり続けます。
  • 親の高齢化と「親なき後」問題: 離婚時の取り決めだけでなく、両親が老齢化・死亡した後の財産管理や住まいの確保をセットで考えなければなりません。

そのため、離婚協議書や和解調書を作成する際には、目先の養育費だけでなく、数十年にわたるライフプランを法的に担保する条項を盛り込む必要があります。

2. 成人後も請求できる?障害児の「養育費」と法的な扶養義務

民法上、親は子どもに対して「未成熟子(みせいじゅくし)」を扶養する義務を負っています。未成熟子とは、社会通念上、自分の労働によって独立して生活できない状態の子どもを指します。

成人に達した後の扶養義務の継続

法律上の成年に達した(あるいは20歳になった)としても、重度の身体・知的障害のために就労が不可能、または極めて困難である場合は、法律上の「未成熟子」に該当し続けます。

そのため、裁判所の手続きや離婚協議においても、成人に達した後の養育費(実質的には扶養料)の支払いを継続させることが認められています。

養育費の金額と算定のポイント

通常の養育費算定表は、健常な子どもを想定して作られています。しかし、障害児の場合は、以下のような実費や特別費用を上乗せして交渉・請求する必要があります。

  • 公的支援や障害福祉サービスではカバーしきれない自己負担分
  • 特別支援学校や専門施設にかかる費用
  • 将来発生する医療費や介護体制の維持費

「成人まで」という一般的な枠組みにとどまらず、「心身の障害が治癒するか、自活が可能になるまで」あるいは「終身にわたる扶養」を前提とした合意形成を目指すことが重要です。

3. 離婚時の財産分与における配慮:子どもの将来財産の確保

離婚時の財産分与は、原則として夫婦が婚姻中に築いた財産を「2分の1ずつ」分けるのが基本です。しかし、障害のある子どもを抱える家庭では、この財産分与のあり方にも特別な視点が必要です。

将来の生活費・介護費を上乗せした財産分与

夫(または妻)の名義になっている自宅や預貯金について、単純な折半ではなく、子どもの将来の住居確保や介護費用の原資として、一方の親が多めに取得するという取り決めがなされるケースがあります。

不動産を売却せずに、監護親と子どもがそのまま住み続けられる環境を維持することは、環境変化に敏感な障害児にとって非常に重要な要素となります。

一時金としての財産分与と定期金の組み合わせ

将来の不払いリスクを防ぐため、まとまった財産を離婚時に一括で分与(財産分与または慰謝料の名目)してもらう方法が有効です。相手方の収入や資産状況が不安定な場合、毎月の養育費だけに頼るのではなく、あらかじめ多めの資産を確保しておくことが子どもの生活を守る盾となります。

4. 「親なき後」を見据えた法制度の活用:信託・成年後見・遺言

離婚時にどれだけ手厚い養育費や財産分与の約束をしても、数十年後に親が亡くなったとき、そのお金や生活がどうなるかという問題が残ります。ここでは、法律の専門家が推奨する具体的な備えを解説します。

障害者扶養共済制度や生命保険の活用

親が万が一の事態(死亡・重度障害)に陥ったときに備えて、生命保険の受取人を子どもや、子どもの生活を支える信頼できる親族・法人に指定するなどの設計を行います。

民事信託(家族信託)の活用

近年、障害のある子どもの財産管理・継承において非常に有効とされているのが「民事信託(家族信託)」です。

親が元気なうちに、信頼できる親族(あるいは専門家)に資産の管理・運用・処分権限を託し、親の死後も、子どもの生活費や医療費として計画的にお金が給付される仕組みを作ることができます。これにより、親亡き後に親族間で財産管理を巡るトラブルが発生するリスクを防ぎます。

成年後見制度との連携

子どもが自身の意思で契約行為や財産管理を行うことが困難な場合、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」「保佐人」「補助人」を選任してもらう必要があります。

離婚に伴う親権・監護権の取り決めと並行して、将来の成年後見人候補を誰にするか、親が生きているうちから専門家(弁護士など)と協議しておくことで、空白期間のない法的保護体制を構築できます。

5. 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所が提供するサポート

重度の身体・知的障害を抱える子どもの離婚は、離婚法務だけでなく、福祉制度、相続法、信託法など、多岐にわたる高度な専門知識が要求されます。

「相手が成人後の養育費の支払いに応じてくれない」 「将来の生活費や財産管理をどのように離婚協議書に落とし込めばいいか分からない」 「感情的な対立があり、直接話し合うのが精神的に耐えられない」

このようなお悩みをお持ちの方は、一人で抱え込まずに弁護士へご相談ください。

当事務所では、落ち着いた相談ブース、プライバシーに配慮した面談スペースをご用意しております。ご相談者様と子どものこれからの生活に寄り添い、将来にわたる安心を見据えた最適な解決策を法的観点からご提案いたします。まずは一度、当事務所の初回相談をご利用ください。

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