【弁護士による解決サポート】公的な相談窓口や弁護士会等では、生活費の確保に向けた迅速な調停申し立て代理をはじめ、モラハラの証拠収集アドバイス、財産分与の交渉までトータルでサポートします。さらに、2026年改正民法(共同親権導入)を見据えた離婚後の親権・面会交流・養育費の取り決めについても、依頼者の生活再建と子どもの利益を守るため最適な法的アドバイスを提供します。
結婚生活において、衣食住や医療費、子どもの養育に欠かせない生活費を渡さない行為は、単なる夫婦間の不仲ではなく、重大な法律上の問題である経済的DV(ドメスティック・バイオレンス)およびモラハラに該当します。
「自分の収入が少ないから我慢するしかない」「生活費をくれない代わりに働くなと言われている」と一人で悩んでいらっしゃる方が少なくありません。しかし、日本の民法では夫婦が互いに協力し、収入に応じた生活を維持する「生活保持義務」を定めています。
本記事では、生活費を渡さない配偶者に対する法的対抗策である「婚姻費用請求」の仕組みから、経済的DVを理由とする離婚、さらには2026年改正民法を見据えた財産分与や実務的な注意点まで、夕陽ヶ丘法律事務所の代表弁護士 井上正人の監修のもと、詳しく解説します。
1. 生活費を渡さない「経済的DV・モラハラ」とは何か
経済的DVとは、お金の支配を通じて配偶者を精神的・物理的に追い詰める行為です。モラハラ(モラルハラスメント)の一形態としても現れやすく、家庭内における深刻な人権侵害にあたります。
経済的DVの主な具体例
- 夫婦共働きであるにもかかわらず、生活費の大部分を一方に負担させ、自分の収入は一切家計に入れない
- 専業主婦(夫)やパート勤務に対して「俺(私)の稼いだ金で食わせているんだから文句を言うな」と生活費を極端に少なく渡す、または全く渡さない
- 食費や日用品のレシートを細かくチェックし、少しでも予算を超えると罵倒する
- クレジットカードや通帳を取り上げ、自由にお金を使わせない
- 「働くな」と強制しながら、必要最低限の生活費すら与えない
このような状況は、単なる「ケチ」や「金銭感覚の違い」ではなく、法的な保護義務違反です。民法第752条に定められる「同居・協力・扶助の義務」に正面から違反しており、離婚事由(民法第770条第1項第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」)の重要な根拠となります。
2. 別居前・別居後の「婚姻費用請求」の基本と実務
配偶者が生活費を渡さない場合、最も有効な法的手段が「婚姻費用分担請求(婚費請求)」です。婚姻費用とは、夫婦が離婚するまでの間、収入の多い側(義務者)が収入の少ない側(権利者)に対して支払うべき生活費(衣食住の費用、子どもの教育費や医療費など)を指します。
同居中の婚姻費用請求の難しさ
法律上、同居中であっても婚姻費用を請求する権利は存在します。しかし、実務上、同居したまま給与の支払いを強制する裁判手続き(差押えなど)を行うことは非常に困難です。家計の財布が完全に握られている場合、同居状態のまま相手から任意の支払いを取り付けることは、モラハラを悪化させるリスクを伴います。
別居と「婚姻費用分担請求調停」の即時申立て
経済的DVやモラハラが激しい場合、まずは身の安全を確保し、プライバシーに配慮した面談スペースを備えた弁護士事務所に相談の上、別居を選択することをおすすめします。
別居を開始した直後、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることができます。この調停では、裁判所が公開している「養育費・婚姻費用算定表」をベースに、双方の収入(給与所得者の場合は源泉徴収票、自営業者の場合は確定申告書)を考慮して具体的な月額金額が算定されます。
ここで重要な実務上のポイントがあります。婚姻費用の支払義務は、原則として「請求をした時(調停の申し立てをした時)」から発生します。そのため、生活費の不払いに直面した場合は、ためらわずに速やかに法的手続きに着手することが、将来の生活を守る上で極めて重要です。
3. 経済的DVを理由とした離婚と「証拠集め」
婚姻費用を確保しながら離婚協議を進めるにあたり、最も重要なのが客観的な証拠の収集です。感情的な訴えだけでは、相手が「生活費は渡していた」「相手が浪費した」と主張を変えた場合に立証が難しくなるためです。
確保すべき主な証拠
- 家計の状況を示す資料:過去の家計簿、レシート、生活費を渡されていないことが分かるLINEやメールのやり取りのスクリーンショット
- モラハラ・暴言の記録:「金を出してやらん」「働けないようにしてやる」といった発言の音声データ、日記、メモ(日時・状況を詳細に記録したもの)
- 別居を余儀なくされた事実:別居に至った経緯を記した覚書や、相談に行った公的機関(配偶者暴力相談支援センターなど)の記録
弁護士が代理人として介入することで、配偶者との直接の連絡を断ち、精神的な負担を大幅に軽減しながら、有利な条件での離婚交渉(協議離婚、離婚調停、離婚裁判)を進めることが可能になります。
4. 2026年改正民法を見据えた離婚・財産分与の注意点
近年、家族法制の大きな見直しが進んでおり、2026年施行の改正民法を見据えた戦略的な対応が求められます。経済的DV・モラハラの事案においても、以下の法改正のポイントを正しく理解しておく必要があります。
- 共同親権の導入とDV・モラハラの例外規定:2026年改正民法により、離婚後の「共同親権」が選択可能となりますが、DVやモラハラが存在し、子の心身に害悪を及ぼす恐れがあるケースでは、裁判所によって「単独親権」とすべきであるという判断が下される法的根拠がより明確化されます。お子様を守るためにも、モラハラの事実を立証することが親権獲得において決定打となります。
- 財産分与の請求期間(除斥期間)の延長:これまでの民法では離婚から2年以内とされていた財産分与の請求期間が、改正により5年へと延長される方向で議論・整備が進んでいます。これにより、別居後に心身の疲弊を癒やしながら、慎重かつ十分に夫婦共有財産の調査(預貯金、不動産、保険、退職金など)を行う時間が確保しやすくなります。
- 法定養育費の確保:離婚後の養育費についても、確実な履行を担保するための法整備が進められており、婚姻費用とあわせて適正な金額を公正証書や調停調書として残すことの重要性が高まっています。
・専門窓口へのご相談
生活費を渡さない経済的DVやモラハラは、放置すればするほど精神的に追い詰められ、経済的な自立をも脅かされます。「自分が出ていったら生活できるのだろうか」「どうやって証拠を集めればいいのか分からない」という不安をお持ちの方は、一人で抱え込まずに弁護士へご相談ください。
公的な相談窓口や弁護士会等では、依頼者のお話をじっくりとお聞きするため、落ち着いた相談ブースをご用意し、プライバシーの保護を徹底しております。婚姻費用の迅速な獲得から、離婚条件の交渉、財産分与、親権の確保まで、依頼者の新たな人生のスタートを力強くサポートいたします。初回のご相談に関する詳細はお気軽にお問い合わせください。