2026年改正民法と共同親権制度の基本方針
2026年に施行された改正民法により、離婚後における子どもの親権のあり方が大きく変わり、父母の双方を親権者とする「共同親権」を選択することが可能になりました。これまでの単独親権制度とは異なり、離婚後も原則として父母双方が子の養育に関する重要事項について共同で決定権を持つことになります。
この制度変更に伴い、日常生活の枠を超えた子どもの法的・社会的手続き、例えばパスポート(旅券)の発行申請や、銀行口座の新規開設といった実務面において、窓口での確認方法や必要書類のルールが大きく変更されました。夕陽ヶ丘法律事務所には、この新しいルールに関して、別居中の元配偶者が書類に協力してくれない、あるいは金融機関や行政窓口での手続き方法が分からないといったご相談が数多く寄せられています。
パスポート発行における親権者の同意確認実務
子どもの海外渡航や身分証明書として欠かせないパスポートの取得は、法律上、子どもの利益に大きな影響を与える重要な決定事項に位置づけられています。
旅券窓口における双方同意の原則
共同親権が選択されている場合、未成年者のパスポート発給申請においては、原則として父母双方の同意(署名や確認)が求められます。旅券窓口(外務省・都道府県のパスポートセンター)では、親権争いに巻き込まれるリスクや、一方の親による子どもの不法な連れ出し(国際的な子の奪取)を防止するため、厳格な本人確認と親権者双方の意思確認を行う実務運用が徹底されています。
申請書にある親権者署名欄において、双方の同意が確認できない場合、書類の不備として受理されないケースが多いため、事前に元配偶者との間で書面による合意形成を図っておくことが不可欠です。
監護親単独で申請できる「急迫の事情」とは
もっとも、すべての手続きにおいて必ず双方が揃わなければならないわけではありません。改正民法では、子どもの利益を守るための「急迫の事情」(例えば、緊急の医療渡航や、人道上の理由による急な海外渡航など)が存在する場合や、日常の監護に関する範囲内であると認められる場合には、実際に子どもを監護している親(監護親)が単独で手続きを進めることができる例外規定が設けられています。
ただし、単なる「連絡が面倒である」「相手と顔を合わせたくない」といった理由では急迫の事情とは認められません。客観的に見て緊急性が高いと判断される証拠や状況説明が求められる点に注意が必要です。
子ども名義の預金口座開設に関するルール変更
子どものお年玉の管理や将来のための貯蓄として、子ども名義の銀行口座を新しく開設する際にも、共同親権の影響が強く及びます。
金融機関窓口におけるトラブルと必要書類
全国の銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行などの金融機関においても、2026年改正民法の施行を受けて窓口対応のガイドラインが整備されました。子ども名義の口座開設にあたっては、マネーロンダリング防止や親権トラブル回避の観点から、窓口で親権者全員の確認を求められることが一般化しています。
従来は、窓口に来店した親(通常は監護している親)の身分証明書だけで簡単に口座開設ができた金融機関でも、今後は共同親権者であるもう一方の親の同意書や、離婚協議書(共同親権の取り決め内容が記載されたもの)、戸籍謄本の提出を求められるケースが増加しています。
実務上の具体的な対処法
金融機関によって、要求される書類や書式が微妙に異なる場合があるため、事前に利用予定の支店へ必要書類を確認しておくことが賢明です。また、相手方親権者となかなか連絡が取れない、あるいは同意を拒まれている状態での口座開設については、弁護士を介して書面で協力を要請するか、家庭裁判所の審判・調停手続きを視野に入れた法的アプローチが必要となることがあります。
相手が同意しない場合の法的解決アプローチ
パスポートの発行や預金口座の開設など、子どもの成長や利益にとって必要不可欠な手続きであるにもかかわらず、元配偶者が感情的な対立から正当な理由なく同意を拒む場合があります。このような行き詰まった状況を打破するためには、法律上の制度を利用した解決が必要です。
- 家庭裁判所への申し立て(子の監護に関する処分): 相手方が合理的理由なく同意を与えない場合、家庭裁判所に対して子どもの利益を優先した判断を求める調停や審判を申し立てることができます。裁判所が手続きの必要性を認めた場合、相手方の同意に代わる許可や、手続きを代行する決定を得ることが可能です。
- 弁護士を通じた交渉・書面合意: 感情的な対立が背景にある場合、当事者同士で話し合うと泥沼化しがちです。法律の専門家である弁護士が代理人として介入し、子どもにとってなぜその手続きが必要であるかを客観的かつ論理的に説明した書面を交わすことで、裁判所を利用せずスムーズに合意に至るケースも多数あります。
- 養育費や面会交流との総合的な取り決め: パスポートや口座開設の同意を取り付ける際、単体の交渉だけでなく、養育費の支払い確保や面会交流のルールといった他の離婚後条件とパッケージで合意形成を図ることで、相手方の協力を引き出しやすくなる実務上のテクニックもあります。
まとめ:新しい法律実務における弁護士のサポート
2026年改正民法による共同親権制度の導入は、父母双方が子育てに関与する環境を作る一方で、行政手続きや金融機関での実務において、これまでになかった確認作業やハードルを生み出しています。パスポートの発行や預金口座の開設といった身近な手続きであっても、事前の準備や法律知識が不足していると、窓口で手続きが滞る原因になりかねません。
夕陽ヶ丘法律事務所では、依頼者一人ひとりのご事情を丁寧にヒアリングし、プライバシーに配慮した落ち着いた相談ブースにて、共同親権に関する複雑な法的手続きや相手方との交渉を全面的にサポートいたします。子どもの健やかな未来を守るために、行政や金融機関の手続きで少しでも不安や疑問を感じられた際は、どうぞお早めに当事務所の弁護士までご相談ください。
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