2026年改正民法における「共同親権」と過去の離婚への適用範囲
2026年の民法改正により、離婚後の親権のあり方は大きな転換期を迎えました。これまで原則として「単独親権」とされていた離婚後の親権について、父母の合意や裁判所の判断によって「共同親権」を選択することが可能となりました。
ここで、多くのご相談者様から寄せられるのが、「2026年3月以前にすでに離婚しているケースでも、この新しい共同親権制度を利用して親権者を変更できるのか」という疑問です。
結論として、法律上は過去の離婚であっても、家庭裁判所へ親権者変更の調停や審判を申し立てる道は閉ざされていません。しかし、自動的に共同親権に切り替わるわけではなく、厳格な法的手続と要件のクリアが求められます。
過去の離婚で決まった親権を共同親権に変更するための法律的要件
すでに成立している離婚において、単独親権から共同親権へと変更するためには、民法が定める「親権者の変更」の要件を満たす必要があります。新法施行後であっても、この基本原則は変わりません。
家裁における判断では、主に以下の要素が厳しく審査されます。
- 父母双方の合意形成: 元夫婦間で、共同親権に移行することについて真摯かつ具体的な合意ができているか。
- 子の利益の確保: 共同親権に変更することが、子どもにとって本当に最善の利益(福祉)につながるか。
- 従前の養育環境の安定性: これまでの単独親権体制のもとで築かれてきた子どもの生活環境や精神的安定を不当に害するものではないか。
- 今後の協力体制の可能性: 離婚に至った経緯(DVやモラハラ、深刻な対立など)がなく、今後子どもの養育に関して冷静な話し合いと共同意思決定ができる関係性にあるか。
特に、過去にDVや児童虐待、激しい紛争があったケースでは、子どもの安全確保の観点から、家庭裁判所が共同親権への変更を認めることは極めて困難であるといえます。
家庭裁判所への申立てから審判までの具体的な実務フロー
過去の離婚に関して親権者の変更を求める場合、当事者間の話し合いだけでは戸籍上の親権変更を行うことはできません。必ず家庭裁判所での法的手続を経る必要があります。
具体的な流れは以下の通りです。
- 夫婦間の協議: まずは元配偶者との間で、親権を共同にすることについて話し合います。
- 家庭裁判所への申立て: 管轄の家庭裁判所に「親権者変更調停」を申し立てます。協議が調わない場合は自動的に審判手続に移行します。
- 調査官による調査: 家庭裁判所調査官が選任され、父母双方からのヒアリングや、子どもの意思確認、現在の生活状況の調査を行います。
- 裁判所による判断: 調査結果や父母の事情を総合的に考慮し、裁判所が「子の利益」の観点から適当であるかを判断し、変更の可否を決定します。
このプロセスにおいては、裁判所に対して「なぜ今、共同親権に変更する必要があるのか」を客観的な証拠と説得力のある論理で主張することが不可欠です。
親権変更請求における注意点と弁護士に相談すべき理由
過去の離婚における親権変更は、新しい法制度である「共同親権」の趣旨を正しく理解し、家裁実務の運用に対応した緻密なアプローチが求められます。
安易に「制度が変わったから」という理由だけで申立てを行うと、裁判所から却下されるだけでなく、元配偶者との新たな紛争を誘発するリスクもあります。また、法改正と同時に導入された「法定養育費」や「財産分与の請求期間伸長(5年)」などの関連制度とのバランスも考慮する必要があります。
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