夫婦の別居に伴い、一方が実家に戻るなどして自宅が空き家になるケースは少なくありません。そのまま放置するのではなく、有効活用として第三者に賃貸に出し、毎月家賃収入を得ている場合、その収入は離婚時の財産分与においてどのように扱われるのでしょうか。
今回は、空き家となった自宅不動産の賃貸運用と家賃収入の分与について、法的性質や実務上の注意点を弁護士が詳しく解説します。
別居後の自宅賃貸と「家賃収入」の法的性質
離婚に向けた別居期間中、夫婦の共有名義や夫(または妻)の単独名義であっても、婚姻期間中に取得した不動産から生じる家賃収入は、法律上「法定果実」と呼ばれる利益に該当します。
共有財産としての取り扱い
婚姻期間中に形成された不動産を原資として生じる利益は、原則として夫婦共同の財産とみなされます。そのため、別居から離婚が成立するまでの間に得られた家賃収入の蓄積分についても、財産分与の対象に含まれるのが一般的な実務の運用です。
ただし、どのような名義で賃貸契約が結ばれているか、また住宅ローンの残債や維持費の負担状況によって、単純に折半とはならないケースも多いため注意が必要です。
家賃収入を分与する際の具体的な計算と控除すべき費用
家賃収入をそのままの額面で分与対象とするわけではありません。賃貸運用を続けるにあたっては、様々な経費が発生しているためです。
- 管理費・修繕積立金・固定資産税: 賃貸物件を維持・管理するために継続して支払ったコスト
- 仲介手数料や広告費: 入居者を募集する際にかかった諸経費
- 住宅ローンの返済額: 不動産自体にローンが残っている場合の毎月の返済分
上記のような必要経費を差し引いた「純益(手残り分)」をベースにして、財産分与の金額を算定していくことになります。どちらか一方がすべての費用を負担していた場合は、その分の寄与を考慮した精算が行われます。
住宅ローンの残債と賃料相殺の実務問題
空き家となった自宅に住宅ローンが残っている場合、賃貸運用との兼ね合いで複雑な問題が生じます。
ローン控除と賃料収入のバランス
賃貸に出すことで得られる家賃収入をもって、そのまま自宅の住宅ローンの返済に充てているケースはよく見られます。この場合、家賃収入はローンの返済原資に消えているため、手元に現金として残っていないことがあります。
現金として残っていないからといって分与対象から外れるわけではなく、「負債の軽減(資産価値の維持)」に貢献したと評価され、不動産の評価額や他の預貯金とのバランスの中でトータルに調整されることになります。
2026年改正民法視野に入れた財産分与の留意点
民法改正の議論が進む中、財産分与に関する請求期間や隠し財産の調査における実務的なアプローチにも変化が見られます。
- 財産分与請求権の期間制限への意識: 離婚後も適正な財産分与を受け取る、あるいは適正に支払うためには、時効(離婚後2年)を見据えた早期の合意形成が重要です。
- 正確な収支データの開示: 賃貸借契約書や通帳の入出金履歴など、隠すことなく客観的な資料を双方で突き合わせることが、泥沼化を防ぐ最大の近道です。
「家賃がいくら入っていて、何に使われているのか分からない」という不信感が、離婚協議を長期化させる大きな原因になります。
適正な財産分与を実現するために弁護士ができること
不動産の賃貸運用が絡む財産分与は、通常の預貯金の分割とは異なり、専門的な知識と緻密な計算が必要です。
当事務所では、プライバシーに配慮した落ち着いた相談ブースを用意し、ご依頼者様のお話をじっくりとお伺いしております。相手方が勝手に賃貸に出して家賃を隠しているのではないか、適正な経費控除がなされているかなど、疑問や不安がある方は、ぜひ一度、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士にご相談ください。的確な法的アドバイスとサポートを提供いたします。
⚖️ 離婚・親権・財産分与・養育費のお悩みは夕陽ヶ丘法律事務所へ
「相手と直接話したくない」「親権や養育費を有利に進めたい」「適切な財産分与を受け取りたい」とお悩みの方へ。
相手方との直接交渉・調停・裁判手続きはすべて弁護士が代理し、あなたの新しい人生の再出発を全力で守ります。
- 初回相談料: 0円(30分無料・オンライン/お電話相談OK)
- 秘密厳守の徹底: プライバシーに配慮した相談ブース/非対面相談
- 親身な伴走: 協議交渉から家庭裁判所(調停・審判・訴訟)まで一貫サポート