離婚調停や裁判において、夫が中小企業の経営者である場合、夫婦の共有財産の中で最も大きな争点になりやすいのが「自社株(非上場株式)の評価額」です。
会社経営者である夫側から、「うちの会社は業績が芳しくない」「株の価値はほとんどない」と主張され、極端に低い評価額を提示されるケースが後を絶ちません。中には、意図的に役員報酬を変動させたり、資産を過小評価したりして、財産分与の額を減らそうとする巧妙な手口も見られます。
夕陽ヶ丘法律事務所には、こうした経営者の財産隠しや不当な自社株評価減に悩む方からのご相談が数多く寄せられています。本記事では、夫側からの不当な評価引き下げ要求に対し、弁護士が税理士と連携して正当な価格へ引き戻した具体的な解決モデルについて詳しく解説します。
経営者夫が狙う「自社株評価引き下げ」のカラクリ
非上場企業の株式は、上場企業のように市場価格が存在しないため、その評価方法には専門的な知識が必要です。裁判実務では一般的に「国税庁の財産評価基本通達」や「類似業種比準方式」「純資産価額方式」、またはこれらを折衷した方式を用いて評価額を算出します。
しかし、経営者である夫側は、この評価システムの隙を突いて次のような工作を行うことがあります。
- 決算期を意図的に調整し、一時的に利益を圧縮して株価を下げる
- 含み損を抱えた不要な子会社や関連会社を作り、親会社の純資産価値を目減りさせる
- 本来は会社計上すべきでない多額の役員借入金や退職慰労金引当金を過大に計上する
- 親族を名目上の役員にして高額な役員報酬を支払い、会社の利益を外へ逃がす
このような夫側の主張をそのまま鵜呑みにしてしまうと、本来であれば数百万円、あるいは数千万円規模で受け取れるはずの財産分与が、わずか数十万円にまで目減りさせられてしまう危険性があります。
夕陽ヶ丘法律事務所の解決アプローチ:税理士連携による適正評価の導出
相手側が提示してきた財務諸表や株価査定書に不審な点がある場合、妻側が一人で反論することは極めて困難です。なぜなら、財務や税務の専門知識がなければ、決算書のどこに「不自然な操作」が隠されているかを見抜けないからです。
当事務所では、財産分与における自社株評価の事案において、以下のような体系的なアプローチで適正価格への引き戻しを実現しています。
1. 徹底的な証拠収集と財務諸表の精査
まず、裁判所を通じた文書送付嘱託や弁護士会照会(23条照会)などの法的手続を駆使し、過去数年分の確定申告書、総勘定元帳、法人税の申告書別表などを網羅的に取り寄せます。表面的な決算書だけでなく、細かな勘定科目の推移まで徹底的にチェックします。2. 提携税理士との共同チーム体制による財務分析
当事務所には、企業の資産評価やM&A、相続税務に精通した優秀な提携税理士が多数在籍しています。弁護士の法的交渉力と税理士の高度な財務分析力を融合させることで、夫側が主張する評価額の論理的破綻を突き止めます。例えば、「実質的な純資産額」を再計算し、会社が保有する土地や建物などの含み益、過大に計上された負債などを正しく修正します。3. 交渉および裁判手続きにおける法的主張の展開
税理士の緻密な意見書を武器に、調停委員会や裁判官に対して「夫側の評価方法は不当であり、こちらが算定する適正時価こそが夫婦の共有財産として分与されるべきである」と強く迫ります。必要に応じて裁判所の鑑定手続を申し立て、客観的な中立評価を引き出す布陣を整えます。実際の解決事例:強気な夫の主張を退け、適正な財産分与を獲得
ここで、当事務所が実際に手がけた解決事例の概要をご紹介します。
【相談時の状況】
依頼者である妻(40代)は、中小企業を経営する夫(40代)からの突然の離婚要求に直面していました。夫側が提示した財産分与の提案書には、自社株の評価額が「ゼロ、または極めて少額」と記載されていました。夫は「会社の負債が多く、自分に資産はない。自宅のローンもあるから財産分与は支払えない」と頑なに主張していました。【弁護士の対応と解決】
担当弁護士は直ちに夫側の提示した決算書に疑問を抱き、調査に着手しました。提携税理士とともに過去5年分の決算書を分析したところ、以下の不正・過小評価の事実が次々と判明しました。- 会社名義で購入した高級外車やゴルフ会員権が資産として適切に計上されておらず、利益が不当に圧縮されていたこと
- 実際には回収可能な売掛金が不良債権として処理されていたこと
- 社有不動産の実際の時価が、帳簿価格を大きく上回る含み益を有していたこと
弁護士はこれらの客観的な証拠と税理士の意見書を突きつけ、夫側代理人に対して「裁判になれば、さらなる厳格な監査や追加の資産開示を求めることになる」と厳格な姿勢で交渉に臨みました。
その結果、夫側は自身の主張の正当性が通らないことを悟り、最終的に当方が算出した適正な自社株評価額(約4,500万円)をベースにした財産分与に応じざるを得なくなりました。これにより、依頼者は当初の提示額を大きく上回る、適正で十分な財産分与を獲得して離婚を成立させることができました。
2026年改正民法を見据えた財産分与の重要性
近年、離婚法制を巡る法改正の議論が進んでおり、財産分与の請求期間に関する見直しや、財産隠しに対するペナルティの強化など、公平な財産分与を実現するための法整備が注目されています。
特に2026年現在の実務においては、デジタルデータの隠蔽や複雑なスキームを用いた財産隠しに対して、裁判所も非常に厳しい目を向けています。「経営者だから株のことは素人には分からないだろう」という相手側の言い分をそのまま受け入れる必要は一切ありません。
自社株評価や財産分与でお悩みの方は夕陽ヶ丘法律事務所へご相談ください
経営者である配偶者との離婚において、自社株や会社の資産が絡む財産分与は、一般の財産分与とは比較にならないほどの高度な専門知識と交渉力が要求されます。相手が弁護士を立てている場合や、強硬に資産の少なさを主張している場合は、こちらも専門的なバックアップ体制を整えて臨まなければ圧倒されてしまいます。
夕陽ヶ丘法律事務所では、落ち着いた相談ブースやプライバシーに配慮した面談スペースをご用意し、ご相談者様のお話をじっくりとお伺いいたします。弁護士と税理士の強固な連携により、あなたの正当な権利と財産を守り抜くための最善のサポートを提供いたします。
複雑な自社株の評価や財産分与でお困りの方は、一人で悩むことなく、どうぞお気軽に当事務所の初回相談をご利用ください。
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