2026年の民法改正により、離婚後も父母の双方角が親権を持つ「共同親権」が導入されました。これにより、離婚時の話し合いのあり方や裁判所の判断基準が大きく変化しています。
一方で、DVやモラハラに悩まされてきた方にとっては、「本当に共同親権を強制されてしまうのではないか」「離婚後も相手に支配され続けるのではないか」という深刻な不安の声が絶えません。
結論からお伝えすると、法律上は共同親権が原則となったものの、DVやモラハラが存在するケースでは、家庭裁判所は「単独親権」を命じる例外規定を厳格に適用します。本記事では、改正民法の趣旨を踏まえ、家庭裁判所が単独親権を判断する基準や、実際の法的手続きにおける注意点を詳しく解説します。
2026年改正民法における「共同親権」と例外的な「単独親権」の原則
2026年に施行された改正民法では、父母の離婚後における子の健やかな成長を図るため、原則として共同親権を選択肢に含めることとされました。しかし、これは「いかなる場合でも必ず共同親権にしなければならない」という意味ではありません。
法改正の最大の目的はあくまでも「子の利益の確保」です。したがって、共同親権を導入することでかえって子の心身の安全や健全な育成が脅かされるおそれがある場合には、裁判所の判断によって例外的に単独親権が指定される仕組みとなっています。
「子の利益」がすべての判断基準
家庭裁判所が親権者を定める際、最も重視されるのは常に「どちらの親が監護することが、子どもの幸福と利益につながるか」という点です。父母双方が円滑に協議を行い、協力して子育てができる環境にあるかどうかが吟味されます。
そのため、一方が他方に対して恐怖心を抱いている状態や、対話すらままならない関係性である場合、共同親権の要件を満たさないと判断されやすくなります。
家庭裁判所が「単独親権」を認める具体的な基準とDV・モラハラの評価
では、具体的にどのような事情がある場合に、家庭裁判所は単独親権を命じるのでしょうか。改正民法およびこれまでの実務運用を踏まえると、以下のような事情が重視されます。
- 配偶者に対する身体的暴力(DV)の存在、およびそれが子どもに与える悪影響
- 言葉や態度による精神的虐待、モラハラ(モラルハラスメント)による支配関係
- 子どもに対する直接的な虐待、またはDVを目撃させること(面前DV)によるトラウマ
- 離婚後における子の養育に関する意思決定(進学や医療行為など)についての著しい意見対立や協議不能の状態
- 財産分与(改正法で原則5年の時効が適用される財産隠しへの対応など)や面会交流を巡る不当な強要
特に、配偶者や子どもに対する暴力や深刻なモラハラが存在する場合、法律上は共同親権を定めることが「子の利益を害する」場合に該当するため、単独親権とすべきであると判断されます。
モラハラはどのように立証されるのか
身体的暴力(DV)については、医師の診断書や警察への相談記録、保護命令の決定書などが強力な証拠となります。
一方で、モラハラは「密室で行われる」「身体的な痕跡が残らない」という性質があるため、裁判所にその深刻さを理解してもらうためには工夫が必要です。夕陽ヶ丘法律事務所では、以下のような証拠の収集と法的な構成をアドバイスしています。
- 暴言や威圧的な発言が記録された音声データ、動画、メッセージアプリの履歴
- モラハラによって心身を病み、心療内科を受診した際の診断書やカルテ
- 日常の理不尽な支配や制限について詳細に記載した日記やメモ
- 実家への避難記録や、友人・知人・カウンセラーに相談していた客観的な事実
単に「性格が合わない」「冷たい」といったレベルではなく、人格を否定し、相手を心理的に支配して正常な意思決定を阻害している事実を示すことが、単独親権を勝ち取るためのカギとなります。
共同親権の導入と「面会交流・養育費」の連動問題
2026年改正民法では、親権だけでなく、養育費の確実な支払いを担保するための法整備(法定養育費の規定など)や、面会交流のルールも整備されています。
DVやモラハラがある事案において、「単独親権が認められたからといって、子どもとの面会交流が一切拒絶されるわけではない」という点にも注意が必要です。家庭裁判所は、子どもの安全を最優先に考えつつ、安全に配慮した方法での面会交流(第三者機関の利用や、引き渡し場所の指定など)を模索することがあります。
しかし、面会交流の場を利用して相手が再び威圧的な態度をとったり、連れ去りの危険性があったりする場合は、面会交流自体が制限・禁止されるケースもあります。ここでも、DVの危険性を客観的な事実として裁判所に主張することが不可欠です。
DVやモラハラから身を守り、単独親権を勝ち取るための弁護士の役割
配偶者からのDVやモラハラに苦しみながら離婚を切り出すことは、精神的にも肉体的にも非常に過酷な作業です。相手と直接話し合うこと自体が恐怖であり、冷静な交渉など到底できないケースがほとんどです。
弁護士を代理人に立てることで、以下のような大きなメリットを得ることができます。
- 相手との直接接触の回避: 連絡窓口をすべて弁護士に一本化することで、相手からの威圧的な連絡やプレッシャーから完全に解放されます。
- 的確な証拠の選定と法的立証: 2026年改正民法の趣旨を踏まえ、どのような事実が「子の利益を害する特段の事情」に該当するかを法的に構成し、裁判所に主張します。
- 迅速な法的保全: 必要に応じて、保護命令の申し立てや、別居時の婚姻費用分担請求、財産分与(改正民法で5年となった時効への配慮を含む)を同時に進めます。
夕陽ヶ丘法律事務所では、依頼者様の心身の安全を第一に考え、プライバシーに配慮した落ち着いた相談ブースをご用意しております。誰にも言えずに抱えてきた辛いご経験や恐怖を、どうぞ安心してお聞かせください。
まとめ:一人で悩まず、まずは専門家である弁護士にご相談を
2026年改正民法により共同親権制度がスタートしましたが、それは決してDVやモラハラを行う配偶者に親権を自動的に与える制度ではありません。法律は、あくまでも「子どもと被害者である親の安全」を守る例外規定を用意しています。
「共同親権になってしまったらどうしよう」「相手の脅しに屈してしまいそう」と一人で抱え込んでしまう前に、ぜひ一度、離婚問題や親権問題に精通した弁護士にご相談ください。
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