国際的な子の連れ去りと共同親権の法的リスク
日本人と外国人の国際結婚の増加や、グローバルなライフスタイルの普及に伴い、離婚前後の夫婦間における「子どもの国際的連れ去り」が深刻な法的問題となっています。2026年に施行された改正民法により、離婚後も「共同親権」を選択することが可能となりましたが、これに伴い「相手の同意なく子どもを海外へ連れ出してしまった」「実家のある外国にそのまま帰国してしまった」という相談が急増しています。
親権が共同である場合、原則として子どもの居所の指定や重要な監護方針の決定には双方の合意が必要です。それにもかかわらず、一方の親がもう一方の親の同意を得ずに子どもを国外へ連れ去る行為は、監護権の侵害にあたるだけでなく、国際法上の重大な問題を引き起こします。
ハーグ条約の仕組みと子どもの返還請求
国境を越えた子どもの連れ去り問題に対処するため、日本も締約国となっているのが「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)」です。この条約は、不法に連れ去られた子どもを原則として元の居住国に速やかに返還させることを目的としています。
- 返還の原則: 子どもが連れ去られる直前に常居所地(通常暮らしていた国)があった国へ、原則として子どもを戻すことが義務付けられています。
- 外務省を通じた手続き: 日本国内におけるハーグ条約の中央官庁である外務省に対し、子の返還援助申請を行うことからスタートします。
- 裁判所による審判: 任意での返還が実現しない場合、家庭裁判所に対してハーグ条約に基づく子の返還申立てを行います。
ハーグ条約の最大の特徴は、どちらの親が親権者として優れているか(親権者適格)を実体的に判断するのではなく、「元の環境へ速やかに戻すこと」を最優先にする点にあります。そのため、連れ去りから時間が経過するほど「子どもが新しい環境に適応した」とみなされ、返還が認められにくくなるリスクが高まります。
2026年改正民法と国際的連れ去りへの影響
2026年の民法改正によって導入された共同親権制度は、離婚後も父母が協力して子育てを行うことを理想としていますが、国際的な事案においては新たな課題も生んでいます。
特に、「子の監護に関する処分の要件」や、海外渡航におけるパスポート発給・査証取得の同意問題が複雑化しています。従来の単独親権体制であれば、監護親が比較的自由に国内での移動や手続きを行えたケースでも、共同親権のもとでは「相手方の同意のない海外渡航や転居」が法的なトラブルに発展しやすくなります。
万が一、元配偶者が子どもを連れて出国する兆候がある場合、あるいはすでに海外へ連れ去られてしまった場合は、一刻も早く法的措置を講じなければなりません。
弁護士が実践する具体的な解決へのアプローチ
夕陽ヶ丘法律事務所では、国際間の家族法務およびハーグ条約事案に精通した弁護士が、以下のような具体的なサポートを提供しています。
- 出国差止めのための保全処分: まだ日本国内にいる段階で、相手が子どもを連れて出国するおそれがある場合、子の監護者指定や子の引き渡し、旅券(パスポート)発給不同意の仮処分などを裁判所に申し立てます。
- 外務省および外国中央官庁との連携: すでに海外へ連れ去られた事案では、外務省や相手国の弁護士と連携し、現地裁判所におけるハーグ条約に基づく返還訴訟を迅速に遂行します。
- 面会交流や将来の養育費に関する協議: 単に返還を求めるだけでなく、将来の適切な共同親権の行使方法や、国際間における柔軟な面会交流のルール作りについて法的な調整を行います。
海外への無断連れ去りは時間との戦いです。少しでも「相手が子どもを連れて出国するかもしれない」「すでに連絡が取れず海外にいるようだ」と感じたときは、放置することなく、直ちに専門知識を持つ弁護士へご相談ください。当事務所では、プライバシーに配慮した面談スペースにて、あなたの不安をしっかりと受け止め、最善の解決策をご提案いたします。
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