2026年改正民法と面会交流の基本原則
2026年の改正民法施行により、日本でも離婚後の「共同親権」が選択可能となります。これに伴い、父母が互いに協力して子どもの養育にあたることが基本理念とされますが、同時に大きな懸念となっているのが「面会交流の実施方法と制限・拒否の可否」です。
法律上、面会交流は離れて暮らす親と子どもが定期的に会うことで、子どもの健やかな成長を促す権利(および義務)と位置づけられています。しかし、共同親権制度のもとであっても、すべてのケースで無条件に面会交流が強制されるわけではありません。子どもの利益に反する事情がある場合には、正当な理由として面会交流の拒否や制限が認められます。
面会交流の拒否・制限が認められる3つの正当な理由
家庭裁判所の審判実務やこれまでの判例、そして2026年改正民法の趣旨を踏まえると、面会交流の拒否や制限が正当化される主な理由として以下の3つが挙げられます。
1. 子どもに対する身体的・精神的虐待、およびDVのおそれ
もっとも明確に拒否が認められるのは、子どもに対する虐待や、同居親に対するDV(ドメスティック・バイオレンス)によって子どもが直接的・間接的な悪影響を受ける場合です。
- 身体的・性的虐待の履歴や高いおそれ: 過去に暴力を振るわれた事実がある場合、子どもを危険に晒すわけにはいかないため、面会交流は厳しく制限されます。
- 面前DV(面前暴力): 子どもの目の前で配偶者を罵倒したり暴力を振るったりする行為は、子どもの精神発達に深刻なトラウマを与えます。これも正当な拒否事由となります。
- モラルハラスメントや精神的虐待: 子どもに対してもう一方の親の悪口を執拗に吹き込む、あるいは存在を否定するような言動を繰り返す場合も、子どもの精神的安定を害するため制限の対象となります。
2. 再度の連れ去り(違法な奪取)の具体的な危険性
共同親権制度の導入により懸念されているのが、面会交流の機会を悪用した子どもの「連れ去り」です。
- 過去の不法な連れ去り実績: 過去に同意なく子どもを連れ去った経緯がある場合や、相手方が「二度と返さない」と周囲に漏らしているような客観的状況がある場合、面会交流の実施は子どもの生活基盤を大きく揺るがします。
- 居住地の隠匿・国外逃亡のおそれ: 外国籍の親による母国への連れ去りリスクなど、日本国内の法執行が及びにくい状況が想定される場合、裁判所は面会交流を不許可、あるいは厳格な制限(第三者機関の利用やパスポート預託など)を付す傾向にあります。
3. 子どもの激しい拒絶反応と心理的負担
「子どもが会いたがっていない」という理由は、実務上慎重に判断されます。単に同居親が嫌がらせとして「子どもが会いたがっている」と言っている場合や、同居親が日頃からもう一方の親の悪口を吹き込んで子どもを洗脳しているケース(いわゆる親 alienation)では、拒否は認められません。
しかし、子ども本人が過去のトラウマや恐怖心から客観的かつ自発的に深刻な拒絶反応を示している場合には、無理な面会交流がかえって子どもの精神崩壊を招くため、一時的な中断や制限が認められることがあります。ただし、この判断には児童心理の専門家による意見書や家庭裁判所調査官の調査結果が不可欠です。
感情的な拒否が招く法的リスク
「相手が嫌いだから」「養育費を払っていないから」という理由だけで面会交流を正当な理由なく拒絶し続けると、法的ペナルティや相手からの強制執行、さらには親権者変更の申し立てリスクが生じるため注意が必要です。
- 間接強制金の支払い: 裁判所の面会交流調停や審判で定められた取り決めを正当な理由なく破り続けた場合、相手方からの申し立てにより、1回違反するごとに数万円〜数十万円の間接強制金が科される可能性があります。
- 損害賠償請求(慰謝料): 不当に子どもと会わせない行為が長期間におよぶ場合、親子の絆を断絶させられたとして、精神的苦痛に対する損害賠償請求が認められた判例も存在します。
- 親権者・監護者の変更リスク: 共同親権・単独親権のいずれにおいても、子の利益を侵害する「協力義務違反」とみなされ、監護親として不適格と判断されるトリガーになり得ます。
夕陽ヶ丘法律事務所からのアドバイスと解決へのアプローチ
面会交流の拒否や制限をめぐるトラブルは、当事者間での話し合いが感情的になりやすく、解決が極めて困難な分野の一つです。2026年改正民法のもとでは、父母の協力関係がより厳しく問われる一方で、子どもの安全を守るための法的防御策も用意されています。
当事務所では、以下のような実務的アプローチで依頼者様をサポートいたします。
- 客観的証拠の収集・保全: 暴力の診断書、警察への相談履歴、メッセージのやり取りなど、拒否・制限に必要な客観的証拠を整理します。
- 第三者機関を活用した安全な面会: 完全な拒絶ではなく、民間や自治体の面会交流支援機関(第三者介入)を利用することで、安全を確保した上での交流を提案・調整します。
- 法的調停・審判の代理申立て: 相手方からの理不尽な要求や、逆に不当な拒絶に対する家庭裁判所の手続きを迅速に代理し、依頼者様と子どもの平穏な生活を守ります。
面会交流や共同親権に関するお悩みは、一人で抱え込まず、早い段階で離婚・親子法務に精通した弁護士へご相談ください。状況に応じた最適な法的解決策をご提案いたします。
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